第11話 『告白』
「ゴブリンの歴史、興味深い」
興味という言葉を自らの『AIの首輪』から教えてもらったココはゴブリンの授業を前のめりになりながら覗き込む。
「ほらココ!あんまり前に出るとバレるよ。はぁ~私も天外と一緒に行きたかったなぁ~」
ロミは溜め息をつく。
完全にココが無茶しないように監視役として選ばれたよ……ロニにやられた。
『遥か昔、我々ゴブリンは人間にひどいことをしたゴブ。略奪、暴行、強姦……許されることじゃないコブ。人間達が学ぶことを止めて数千年経った今でも我々は過去の過ちを忘れてはならないゴプッ』
「すごい!ゴブリンが人間を襲わなくなったのは『AIによる、圧倒的な力の差があるため』とインプットされていた。だが、実際はゴブリンが『過去の過ちを悔い改めたから』何百年ぶりの新しい更新!」
ココがいつになく饒舌になるが、ロミは全く関心がなかった。
「こんなことなら、ロニの探索チームに入れてもらえばよかった……」
【一方、ロニ・ミク探索チーム】
「私……ゴブゾウのこと……好きゴプ」
校舎裏の大きな木の下で雄のゴブリンと雌のゴブリンがモジモジしていた。
「あれは何もしているのでしょう?『好き』……とは?」
茂みの中からロニが顔を出す。
「なんだか見てると体がポカポカするな!」
茂みの中からミクが顔を出す。
「ありがゴフ。でもオデ、ゴブエより、おっぱいの大きなエフリンが好きゴブッ」
「どうしよう。無性にあの雄ゴブリンを葬りたくなったわ」
胸の小さなミクが呟く。
「あらあら……目立つからやめてね」
胸の大きなロニがミクを慰めるが逆効果だ!
「ゴブゾウの……ゴブゾウの……バカ――!!」
ゴン!!
ゴブエは持っていた棍棒でゴブゾウの頭を強打した!
「バカバカ――!!」
ゴブエは泣きながら走り去った。
「いてて……ゴブ……ん?誰ゴブ?」
頭を押さえるゴブゾウが顔を上げると、仁王門したミクが立っていた。
「あんた……ムカムカするわね」
ミクは拳をゴブゾウめがけて振り下ろした。
ドゴォン!!
ロニはその様子を遠目で見ながら少し考え事をしていた。
「さっきの雌ゴブリン……「すき」と言った?……す……き……好……き?」
フォン……。
ロニの首輪が一瞬赤く光る。
「す……『スキットル』」
※スキットルは主にウイスキーなどアルコール濃度の高い蒸留酒を入れる携帯用の小型水筒である。
「あら?私は何をしていたのかしら?」
ロニは不思議に思ったが、とりあえず血だらけで虫の息のゴブリンにとどめを刺そうとするミクを止めに入った……。
<つづく>
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