第4話 『ゴーレム』

「聞いたわよ」


 俺に話しかけてきたのは五人の中で一番お姉さんっぽいロニ。


「ついてきて」


 ロニはそういうと、洞窟の外まで案内した。


「あの外で木を切り倒したり、土を掘ったりしているゴーレムがいるでしょ。あれが……男だったものよ!」


 ロニが指差した先に体長2メートルを超す土色の人の形をしたものが土木作業をしていた。


「え!?あれが……男?」


「そう。何千年も前、子供を作るのに必要な精子が発達したAIにより人工で作れるようになってから男は必要なくなったの。力仕事さえ機械に劣る男は退化し、ほとんど生まれなくなった。『生まれないように操作された』が正しいかしら。たまにイレギュラーで生まれてしまった男はそのまま捨てられ、ああやって理性もなくただただ土を掘ったり、木を切ったりするだけのモンスターになってしまうのよ……」


「悲しいな……男」


 ……おれば無意味に穴を掘りつづけるかつて男だったものを悲しそうな目で眺めた。


 剣道部の先輩が言ってた。


 『男は常に戦っていないといけない。女の子を守るためにな!』


 キザな先輩だったが頼りになった。


 男の価値は『力仕事』と子供を作るための『球数の多い鉄砲』。両方がAIの進化により必要となくなり、存在意義がなくなった。


「あなたのアンノウンって……これ?」


「――!?」


 ロニは隣に座ったまま、いきなり俺の股間に手を伸ばし……握った。


「私達に必要なものは『失われた過去』人間が心を取り戻すには『過去の不完全な物』をもう一度甦らせる必要があるの」

 

 ロニは難しい話をしながら、おれのお◯んちんをシゴキ続けた。


「あ……ちょっと……出っ!」


 出そうになったところで、ロニが手を離す。


「?……ねぇ、なんで私は今、あなたの突起物に対して上下運動を繰り返したのかしら?」


 ……知らんがな!


 俺はそんな地方の方言で心の中でツッコミをしたが、真面目な顔をしたロニに失礼かと思い、誠心誠意を尽くして真面目に答えた。


「俺が……気持ちいいから?」


 精一杯の作り笑いをして答えた。


「意味がわからないわ」


 ロニはそういうと立ち上がり、洞窟内に返っていった。


 俺は俺の暴れん棒がおさまるのを土を掘りつづけるゴーレムを見ながら、ただただ待った。


 <つづく>

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