第3話『リカバリーマシン』
俺は気の強そうなミクの部屋に連れられ、この世界の事を教えてもらっていた。
AIが支配する世界では人間は決まった時間に起きて、決まった時間に栄養を取り、決まった時間に寝る。
さらに15歳で仕事を与えられ、20歳で子供を産まされ、60歳で焼却処分される。
ミク達五人は同じ『ベルトコンベアから流れてくる物体を仕分ける仕事』をしていたらしい。
そういえば、男の姿を見ていなかった俺は何気に「男はいないの?」とミクに聞いてみたが、返ってきた言葉は「おとこ?なにそれ?」だった。
『リカバリーの時間です。リカバリーの時間です』
「え~もう、そんな、時間?」
ミクの首輪から音声が流れてきた。
ミクは「仕方ないなぁ」と言いながらが奥の部屋に歩いていった。
何気に着いていくと、洞窟内には似つかわない見たこのない機械があちらこちらと置いてあった。
「すごい!見たことのないものばかり!」
ミクは歯医者さんの診察台のようなものに座ると、自動で背もたれが倒れた。
「……天外、あまり見ないでくれるか?いつもと違って、調子が狂う……」
こちらを向いて恥ずかしそうな顔をするミク。
『栄養摂取開始』
音声が流れると天井についている機械の蓋が開き太い管が下りてきてミクの口の中に入る。
管がウネウネしだした!
どうやら栄養が流し込まれていくようだ。
「んぐっ!ゴボゴボゴボ~!」
ミクに何やら流し込まれ、苦しそうに体を反る!
『栄養摂取終了』
……なんかすごかった。
ミクの口から管が外れる。
「こほっ……むせた。て、天外!もういいから向こうへ行ってくれないか?」
ミクが顔を真っ赤にして訴えてくる。
まだ、何かあるのかな?
さっきの『栄養摂取』がすごかったから、まだ見たい気がするけど、さすがにミクが恥ずかしがっているし、向こうに行っていよう。
……俺は気を利かせ「わかった」といい、後ろを向いて歩き始めた。
『排泄処理の準備中』
俺は再び『クルッ!』と振り向き、ミクの間近に近づく。
「ば、バカ!なんで戻ってくるんだ?」
「い、いや!気になって!!」
異世界人は排泄どうやるの!?
好奇心には勝てなかった!
真っ赤になるミクの下から管のついた半球状のものが伸び、ミクの股関を覆う。
まじまじ見る天外。
「おお!下のブルマみたいな形の金属みたいな堅そうなパンツは、それがピッタリくっつくように出来てたんだ!」
「解説はいいから!見ないで――!!」
『排泄処理開始』
ジョボジョボジョボ~!
管が吸引を始めたようだ。
「いやぁ~~!!」
「おおっ!!」
なにが「おおっ!!」なのかは別として目が離せない!
「見ないで~」
ミクは真っ赤になった顔を両手で隠しながら叫んだ!
『排泄処理終了』
ぐったりするミクのそばにおとなしそうなココがやってきた。
「ここにいた。なに?稀人は人の栄養摂取や排泄処理が見たいの?変わってるわね」
ココは不思議そうな顔を天外へ見せる。
「美少女なら全部見たい!」
天外が即答する。
「みんな同じで育ってきたから、あなたの言う『美少女』が何なのか、わからないわ」
AIが支配する世界は個性を奪う。
俺のいた世界では「AIはまだ赤ん坊。いろんな知識を覚えさせて成長させる」と学校で習った。
成長を終えたAIにとって、考えるのをやめた人間の価値はあるのだろうか……。
そんな、難しいことを考えても答えなどわかるはずもなく……さっきのミクの排泄処理を見たから俺もトイレ行きたくなっちゃったな……。
「俺もオシッコしたくなっちゃったな。トイレどこ?」
ココは珍しい物を見る顔で俺を見る。
「トイレ!?排泄処理は全員、リカバリーマシンがしてくれるから、そんな非効率な場所は何千年も前になくなったわよ」
「え!そなの?」
……しかたない、外で済ますか。
「待て待て待てぇ~い!」
そう、思った俺だったが、ミクがさっきの仕返しとばかりに俺の手を引きリカバリーマシンたやらに座らせようとする。
「はい、座って座って~」
「ムリだよ!俺、管みたいなの入らないよ!」
必死で抵抗する。
「大丈夫よ。リカバリーマシンは手動でもできるから。あなた生命維持パンツ履いてないしね」
彼女達の履いているブルマみたいな堅そうなパンツは『生命維持パンツ』って言うのか?
って……手動!?
俺は無理やり寝かされ、ミクに勢いよくズボンとパンツを同時にずり下げられる。
「あれ?穴がない?このフニャフニャした突起物はなんだ?」
ミクが俺の下半身の突起物を人差し指でツンツンしている!
俺は緊張に弱かった!
「私にも見せて」
ココが突起物をじっと見る。
「ん?硬いわよ?どこがフニャフニャなの?」
ココが俺の下半身の突起物を握った……。
「え?さっきはフニャフニャだったよ!あれ?大きくなってない?」
ミクが覗き込む。
……なんだ、この状況?
「こら――!!あなた達、何してるの――!!」
二コの怒鳴り声が聞こえた!
「ヤバい!二コにバレた!逃げるぞ!」
「二コ、怖い。逃げるが勝ち」
ミクとココは一目散にその場を離れた。
ゆっくりと近づいてきた二コは、俺の丸出しの下半身を見て、驚いた様子でこう、言った。
「見つけた……アンノウン」
<つづく>
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