感謝を込めて 6
「よし、収穫は完了だ。
まだ果実はあるが、これ以上は持ち帰れん。
そろそろ倒すぞ。メキラ!」
「・・・倒す。」
メキラが飛び出す。
イチゴも応戦する。
避ける!
叩く!
つまみ食い!
ん?
避ける!
叩く!
つまみ食い!
攻撃の合間、合間につまみ食いを挟み込むメキラ。
・・・器用だな。
イチゴが暴れるが、メキラは攻撃とつまみ食いの手を休めない。
次々に腕?をへし折っていく。
しかし、イチゴがデカ過ぎてすぐには効果は出てこない。
だが、メキラは確実に腕?を減らしていく。
徐々に攻撃に厚みがなくなっていく。
イチゴは鬱蒼とした森のようだったのが、
今や超巨大なウッドゴーレムのようになっていた。
ウッドゴーレムと言っても、人型ではなく、四つ足の獣型だった。
むき出しになった幹をメキラが殴っていく。
幹が大きく、一撃で折れることはないが、破片が飛び散る。
四つ足を順番に砕いていく。
そして、身動きが出来なくなったところ、一番太い胴体部分を何発も殴り続ける。
ドゴォォォォン!
ドゴォォォォン!
ドゴォォォォン!
バキバキバキバキバキバキバキバキ
ついにイチゴの本体がへし折れた。
もうまったく動かない。
「・・・ブイ」
メキラがやりきった感じを出して戻ってきた。
服のあちらこちらが赤く汚れているが、出血ではない。
イチゴの果汁だ。
さすがに戦いながらつまみ食いすりゃ、汚れるわな。
「じゃあ燃やすぞ。」
「ちょっと待ってください。
このまま枝が散乱した状態で火をつけると延焼してしまいます。
枝を集めて、周囲に延焼しないようにしないと辺り一面火の海になってしまいます。」
「そ、そうか。
まったく考えてなかった。
さすがエリー。
じゃあ枝を集めるぞ。」
俺、メキラ、エリーが散乱した枝を集め始める。
ん?
「先代! あんたもやるんだよ!」
「えっ!? 私もやるのか?」
「当たり前だろ!
誰のせいでこんなことになったと思ってるんだよ!」
「わかった、わかった。
やるから、そんなに睨まんでくれ。
私は非力だから、そんなに戦力にならんのに。。。」
確かにいずみさんは非力だ。
まったくと言っていいほど戦闘能力がない。
魔王になってからトレーニングをしていない。しかも魔王になった時に与えられる恩恵も、『研究を続ける』ということを優先したようだ。
なので枝も少ししか持てない。
エリー以下だ。
それでも、俺たちだけ働いて、いずみさんだけゆっくりしている、という状況は許せなかった。
さぁ、さっさと片付けるぞ。
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