感謝を込めて 5

「だいたいのことはわかった。

まずは収穫だ。

メキラは収穫に専念してくれ。

ある程度、収穫出来たら、チャチャッと倒してしまおう。」


「・・・わかった。」


巨大な木の化け物に立ち向かうメキラ。

何故かもんぺ姿だ。

背中には籠を背負っている。


なおこの籠はマジックアイテムだ。

籠に入った野菜や果物を劣化させない特殊加工が施されている。

しかも見た目以上に入る容量拡大付き。

農家垂涎の品だ。


メキラが駆ける。

イチゴが腕?を振り下ろす。

轟音と共に土煙があがる。


そんな攻撃はメキラには当たらない。

メキラはイチゴの腕?の上で収穫をする。


振り落とそうとイチゴが腕?を振り回す。

それでも落ちないメキラ。


イチゴはいくつもの腕?を出して、メキラに殴りかかる。

華麗な動きでかわしていく。


イチゴは大きいし、その重量から、一撃の威力はバカに出来ない。

しかし、スピードはあまり速くない。


メキラがムーンサルトイチゴ摘みを魅せる。

走り回りながら、イチゴをどんどん収穫していく。


そして、ある程度収穫を終えた腕?をへし折っていく。



籠がある程度いっぱいになると、俺のところに戻ってきた。


「だいぶ採れたな。

1つ食べてみるか。」


そう言って4人で試食。


「うまい!!」


「こんな甘いイチゴ初めてです~!」


「甘いけど、後味はすっきりしていて食べやすい。香りも最高、果肉の食感も抜群だ。

さすが私が作ったイチゴだな。」


メキラも無言で頷いている。


「メキラ!

もっと収穫だ!

採れるだけ採るぞ!」


メキラも俄然やる気だ。

グッと拳を握りしめる。



そこからは世界最速のアクロバット収穫が行われた。

迫りくる幾つもの腕?を避けまくりながら、収穫の手は止めない。


籠がいっぱいになると、俺にパス。

俺は新しい籠を渡し、満タンの籠の中身を保存ボックスに移していく。


いくつの籠を満タンにしただろうか。

俺の手持ちの保存ボックスも限界だ。


俺は新しい籠を投げながら、

「その籠でラストだ!

それをいっぱいにしたら攻撃開始だ!」


コクリと頷くメキラ。


疾風怒濤のイチゴ摘み。

目にも止まらぬ早業で収穫していく。

もちろん、その間もイチゴは暴れ続けている。

周辺の荒れ具合は相当なものだ。



シュタッ!

メキラが俺の前に降り立つ。


そして、メキラはイチゴが山盛りになった籠を差し出した。


「よくやったぞ、メキラ!」

ワシワシと頭を撫でる。


これで十分なイチゴを確保出来たな。

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