連休は命がけ 4

「壮観だな。」


モンゴラ渓谷の高台に俺の配下のモンスターたちが集まっている。

決戦を前にして、みんなやる気だ。

俺も興奮を隠しきれない。


「魔王様、『壮観』という言葉の意味をご存知ですか?」


リノアよ、

決戦を前に水を指さないでくれ。

・・・これから盛大に水を指すのだが。



「魚人、

ヒトデマン、

大雨虎、

タコタンク。。。

モンゴラ渓谷は似合いませんね。」


エリーが俺の集めたメンバーに対して酷評だ。


魚人

『人魚』ではない。

『マーマン』とも違う。

もっと魚が濃い。

そして人気が無い。

イメージはマンボウに人間の手と足がニョキッとはえている感じだ。


ヒトデマン

星形のヒトデが器用に二足歩行している姿を想像してもらいたい。

コミカルだが、陸上で歩くスピードは非常に遅い。


大雨虎

漢字だと強そうだな。

だが、アメフラシだ。

人間が寝転んだサイズのナメクジと思ってもらっても間違いない。

特技は雨を降らすこと。

他には特に何もない。

人間サイズのナメクジの軍団、、、

ある意味恐ろしい。


タコタンク

頭がやたらに大きく足は短い。

バランスボールに50センチ程度の短い足が8本ついている。

チョコチョコ歩く姿はゆるキャラ向き。

頭が大き過ぎて、水中でも動きは遅い。

大きな口をホースのようにして放水するのが特技だ。



もうおわかりだろう。

完全に水辺のモンスターたちだ。

モンゴラ渓谷は山中にある谷。

湖や川がある訳ではない。


作るんだ!

これから!!



もちろん、今いるモンスターだけでは無理だ。


マジックアイテム『夢幻の水瓶』

本来は勇者が湖底に沈むダンジョンを攻略するためのお助けアイテムだ。

『夢幻の水瓶』を使用すると湖の水を全て吸い込み、歩いてダンジョンに入れるようになる。

しかも、解除すると吸い込んだ湖の水を吐き出し、湖を元の姿に戻してくれる。

そんな便利アイテムなのだ。


今回は『夢幻の水瓶』の水を吐き出す機能を利用する。

既に大量の水を飲み込んでいる。

後は解除して、水を吐き出すだけだ。



俺は合図を送る。

メキラが『夢幻の水瓶』を解除する。


大雨虎が雨を降らせる。

1体ではパラパラと降らせる程度だが、今回は団体だ。

辺り一面に滝のような大雨が降る。


タコタンクも放水を開始する。


魚人やヒトデマンも水魔法で水を生みだす。


凄まじい水量がモンゴラ渓谷を襲う。

これが俺の奇策だ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る