遠足は友だちと 6
コンコン
「私よ。」
「はい、ちょっと待ってください。」
ティファがドアを開けると、1人の少女が立っていた。
ティファより少し年上。
明るい笑顔の美少女だ。
優雅な身のこなしで、部屋に入るだけでも、フワリと揺れる髪から良い香りがしてくる。
「レオナ様。」
「『様』はいらないわ。
呼びにくいでしょ。」
気さくに笑いかけるレオナに、ティファの表情も和らぐ。
「は~、どうしたの?
死にそうな顔してるわよ。
訓練がハードなの?」
そう尋ねるレオナにティファは今日の出来事を報告した。
「ナニそれ!?
勇者をなんだと思ってるのよ!」
怒りを顕にするレオナ。
「で、でも、みんな一生懸命だし、、、」
「みんなが必死なのは、ティファを利用して売名しようとしたり、お金を儲けようとしたりしているだけよ!
誰もティファのことを考えてないわ!」
「でも、、、私に選ぶ権利は無いし、、、」
「ごめんなさい。
強く言い過ぎたわ。
でもこのままじゃ、大人たちの利権争いに翻弄されるだけね。」
「私、、、どうしたらいいのかな?」
困り果て、今にも泣き出しそうなティファ。
レオナはそっとティファを抱きしめた。
「心配しないで。」
ティファを優しく抱きしめながら、頭を撫でる。
ティファの瞳からポロポロと涙がこぼれる。
ティファが落ち着くまで、レオナは優しく撫で続けた。
「ごめんなさい、、、ありがとう。」
「こちらこそ、ごめんなさい。
あなたがこんなに追い詰められているのに何もしてあげられなくて。」
「そんなことない!
レオナだけだよ、私のこと、本気で心配してくれるのは!」
「ティファ」
「私、レオナがいてくれて、ホントに有難いって思ってるんだよ。」
「・・・ティファ。
明日の夜も来るから、待ってて。
ティファの力になりたいの!」
「レオナ!?」
「私はティファの味方だからね!」
「うん!!」
再び泣き出すティファを、レオナは優しく慰めた。
ティファが落ち着くと、
「明日の夜、また来るから待っててね。
大丈夫。
私がなんとかするから!」
「ありがとう。」
レオナは王女だから、
父親である国王にお願いしてくれるのかな。
ティファはそれくらいの認識だった。
本気で心配してくれるレオナの存在はティファにとって、大きな心の支えになっていた。
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