遠足は友だちと 7
ティファは翌日も怒涛のスケジュールが待っていた。
午前中は座学。
午後からはトレーニングだった。
相変わらず流派はバラバラ。
習った次の瞬間には否定される。
頭も体もパニックだった。
夕方にはパーティーメンバーとの打合せがあった。
20人もいるので顔と名前を覚えるのも難しい。
それぞれがバラバラの主張をする。
どのダンジョンに挑むのか。
もう少し準備を整えてから出発するのか。
パーティーメンバーを減らすべきとか。
もっと増やすべきとか。
意見の隔たりは大きい。
本来、中心にいるべき勇者は置いてきぼりだ。
更には議論には参加せず、
ティファを籠絡しようと口説きだすメンバーまで出てくる始末。
まったく実りの無い時間が過ぎていく。
ようやく解放された時、
ティファはもうフラフラだった。
長々と行われた打合せは結局何も決まらないまま、また打合せをすることだけが決まっただけだった。
ティファはとりあえず夕食を食べ、自室に戻った。
レオナを待つ間に睡魔に負けて、うとうととし始めてしまった。
・・・コンコンコン
「・・・あっ!?」
慌ててドアを開けるティファ。
そこにはレオナとアイシャがいた。
アイシャはレオナの幼なじみで、護衛を務める騎士でもある。
ただ、騎士と言っても見習いだが。
「ごめんね~、起こしちゃった?」
ニッコリ微笑むレオナ。
「ごめんなさい!
ついうとうとしちゃって。」
「疲れてんのよ。気にしなくていいわ。」
そんな会話をしながらレオナとアイシャを招き入れる。
アイシャが大きな荷物を持っていた。
「これ、気になるよね♪
アイシャ、見せたげて。」
「承知しました。」
アイシャが広げると、白い革鎧とロングソードが入っていた。
「さぁ、着替えて出発よ!」
「えっ!?今からですか?」
「そう!今すぐ!」
「え?え?どこに行くんですか?」
「魔王を倒しに♪」
「は?え?え~~~!!」
「しー!もう少し静かに!」
レオナは口の前に人差し指を立てながら言った。
「どういうことですか!?」
「大人たちは政争にしか興味が無いのよ。
魔王のことより目先の権力争いね
このまま待ってても何も改善しないわ。
だから、ね!
私たちだけで出発しちゃうの。」
「さすがにまずくないですか。」
「大丈夫よ。
私、王女だし♪
そうそう荒っぽい手段は取れないわ。」
「で、でも、、、」
「私は魔法を使えるし、アイシャも歳の割には強い方よ。
さすがに3人は少ないから、途中でメンバーは増やしたいところだけどね。」
「あ、あの~、、、」
「このまま何もしないまま、王宮でぐずぐずしてるなんて意味無いわよ。
勇者が魔王を倒すのに何を考える必要があるのよ。
さぁ、ティファ。
決断をして。
私たちと一緒に一歩踏み出すか、
ここで流されるまま何もしないか、
選ぶのはあなたよ!」
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