遠足は友だちと 5
ざわざわざわざわざわざわ
店の中が騒がしくなってきた。
男たちが乱入してきた。
「おいおい!
約束違反だろ!!
装備は勇者様が選ぶ取り決めだ!」
「何を言う!
勇者様が選ばれたのだ!
もうお前たちの店を見る必要もないわ!」
「ふざけるな!
全ての店を見て回る約束だろ!」
「もう勇者様は満足されているんだ!」
「そんな横暴をして、今後商売を続けられると思っているのか!?」
「ぐっ!」
反論できなくなった商人たち。
新しく来た商人の一団がティファを連れて行った。
「そ、装備は、、、?」
「大丈夫です、勇者様。
後で私の部下が返しておきます。」
そしてティファは新しい商店に連れて来られた。
「勇者様。
そのような実用性の無い装備は脱ぎましょう。
勇者様はこれから命をかけた戦いをされるのです。
大切なのは防御力です。
質実剛健こそが勇者様に必要なものです。」
ティファは着替える為に奥の部屋に入っていった。
・・・言っていることは正しいな。
防御力は大切だ。
全ての攻撃を避けることはできない。
高い防御力は戦闘に安定感が生まれる。
着替え終えて出てきた。
ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン
歩く旅に音が響く。
ドテッ
「・・・起き上がれません、、、」
全身甲冑。
ティファの顔は見えないが必死に起き上がろうともがいている。
店のスタッフが助けて起こす。
「この甲冑は非常に防御力が高いんです。
例えゴブリンの集団に襲われても、まともなダメージにはならないでしょう。」
・・・確かにダメージは無いかもしれない。
でも、あれだけ動けないと、こちらも攻撃が出来ないだろ。
歩くのも無茶苦茶遅いし!
あんなヤツがパーティーにいたら邪魔でしかない。
「すいません。
・・・限界です。
脱がしてください、、、」
ティファが限界を迎えていた。
ティファはなんとか甲冑を脱がしてもらい、フラフラしている。
そこに新たな商人の一団が現れ、ティファを連れて行く。
その後も武器やアクセサリー、消費アイテム、などなど。
ティファに売りつけようとする商人たちの猛アピールは続いた。
ようやく解放されたティファはフラフラになりながら、夕食を済まし、自室に戻った。
ティファにとっては自室だけが1人になれる場所だった。
「明日もこんなのが続くのかな、、、」
ティファは自分の予定すら教えてもらっていない。
何も知らず、ただただ周囲に流されるだけの毎日だった。
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