遠足は友だちと 2

「魔王様、勇者パーティーが冒険に出発します。」

リノアが勇者の近況を報告してくれた。


「・・・遅くない?」


勇者が誕生してから、既にだいぶ日数が経っている。

まだ出発してなかったのか、ってのが正直な感想だね。


「前回の反省から慎重になっているのかもしれません。」


先代の勇者は死んでない。

神様に見限られ勇者を剥奪されたのだ。

そして新しい勇者ティファが誕生したのだ。


・・・先代勇者が神様に見限られのは俺の策略のせいだ。

まぁ、魔王って勇者を邪魔するのが仕事だからね。



「それでどんな感じなの?」


「今回はかなりパーティー人数が多いです。

勇者含めて、13人です。」


「多過ぎないか?」


「どうやら、前回の勇者がなんの成果も出せなかったことを批判し、各勢力が人をねじ込んできたようです。」


「なるほどね。

よし、今回はその人数の多さを突こう。」


エリー

「定石では、勇者パーティーの人数が多い時は大軍を当てて、数を減らすことになっています。」


まぁ、そうだよね。

人数が多いと目立つし、どこにいるかわかりやすいから、大軍を用意しやすいよね。

だから、歴代の魔王はそんな対応をしてきた。


しかし、勇者の得意とする戦術は少数による強襲だからね。パーティーが大き過ぎると、その持ち味を失わせる。

まとまりのない大所帯なんて足かせでしかない。


「もっと人数を増やさせよう。

協力者に工作させるんだ。」


人間の中には隠れて魔王に協力している人間がいる。

目先の利益で国を裏切る人間。

洗脳をして操り人形となった人間。

そもそも魔物が成りすましている人間。

王国にはそういった協力者が何人もいる。


というか、俺が増やすように指示をしている。

俺は直接戦うのはあまり好きじゃない。

こういう裏工作とか策略で勇者をどうにかしたいと考えている。


・・・誤解が無いようにしたいが、

よくアニメとかで、やたら知謀をひけらかすタイプの悪の組織幹部とかがいるが、そういうのとは違う。


想像してほしい。

まだ幼さの残るティファを俺が虐殺する光景を。

そんなことしたら悪夢にうなされるわ!


だから、直接戦闘にならないように頑張っているんだ。




そして翌日、

「勇者パーティーを増やす工作に成功しました。

現在、勇者パーティーは20名です。」


「よくやった。

それで勇者は今何をしている?」


「どのダンジョンに向かうかの意見が一致せず、連日会議が行われているようです。」


勇者も大変だな、、、

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