入学式と勇者の旅立ち 9
「忘れ物無いね~」
「は~い。」
真新しい制服に身を包んだ琴音が嬉しそうに応えた。
家族そろって、小学校まで歩いていく。
心咲も勝負服を着ている。
伊織も華やかだ。
俺はいつも通りのスーツ姿。まぁ、そんなもんでしょ。
小学校に到着すると、体育館に案内された。
ここで琴音とはお別れだ。
新入生はクラス毎に集まって座ることになっていた。
俺たちは保護者席に座る。
間に心咲を挟んで並んで座った。
入学式は問題なく進んでいった。
琴音も心咲もお行儀良く座っている。
・・・というか基本的に式典の最中は立つか座るかしか、行動は無い。
ただ、新入生はまだまだじっと座っていられない子どもも半分くらいはいた。
少し前まで保育所や幼稚園にいたのだ。
子どもたちにとっては黙って座っているというのは大仕事だ。
うちの子はバッチリだったけどね♪
一番の見せ場は名前を呼ばれて返事をするところだった。
「斎藤琴音さん」
「はい!」
泣けたね。
大きな声で元気に返事出来てたよ。
6年生が歓迎の挨拶をしていた。
しっかりしてるね。
琴音もあっという間に成長していくのか~、
なんて考えていたら、やっぱり泣けてきた。
異世界では無慈悲な魔王やってるけど、
娘関係では、かなり涙腺が弱くなってるね。
だいたい1時間もしないで入学式は終了した。
琴音も心咲も頑張ったね。
晩御飯はお祝いモード。
メインは子どもが大好きな唐揚げ。
デザートにはチーズケーキ。
みんな大喜びでワイワイ食べました。
疲れていたのか、晩御飯を食べたら子どもたちはすぐに眠ってしまった。
「よっぽど疲れたのね。」
「新しい環境で緊張したんじゃないかな?
朝から気合入ってたもん。」
「通学は大丈夫かな?
道路に飛び出したり、道に迷ったり、、、」
「大丈夫だよ。
ことちゃんはしっかりしてるから。」
「子どもの成長って早いわね。
いつの間にか小学生だもん。」
「そうだね。
みさちゃんもあっという間に小学生になるんじゃない?」
「ホント、早いわ~。」
子どもの成長はずっと見守りたい。
その為にも、
勇者に倒される訳にはいかないな!
ティファには悪いが、俺も死にたくはない。
勇者の役目は失敗してもらうぞ。
内心で、そんなことを考えながら、その後も妻との他愛ない話をしながら夜は更けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます