入学式と勇者の旅立ち 8
俺は魔法でティファの声を拡大する。
「私は勇者に選ばれました!
まだまだ弱くて、、、
不安はあります。
でも!
私は戦うって決めました!
みんなを守るために戦うって!
だから、
絶対に強くなって、魔王を倒します!」
パチパチパチパチパチパチパチパチ
まだ幼さの残る少女の必死の覚悟を聞いて、拍手が巻きおこる。
しかし、そこに暗雲が立ち込める。
「フッフッフッ、我は魔王だ。」
低くドスの効いた声が聞こえる。
もちろん、録音です。
だって、魔王は勇者の横に立ってますから。
声は加工して、低くしてある。
「勇者よ、
その程度のモンスターを倒したぐらいでいい気になるなよ。
今日のはただの挨拶代わりだ。
我が軍勢はまだまだ星の数ほどいる。
怯えながら敗北の日を待つがいい。
ハッハッハッハッハッハッ。」
笑い声のまま徐々にフェードアウト。
「ティファ、みんなを励まして。
不安を払拭するのも勇者だよ。」
ティファの発言を促す。
「安心してください!
魔王がなんと言おうと、私は諦めません!
絶対に魔王を倒します!」
オオォォォォ!!
パチパチパチパチパチパチパチパチ
歓声と拍手が鳴り止まない。
近寄ってきた住民たちは希望の星である勇者を讃えた。
その混乱に乗じて、俺たちは撤収した。
この騒動で勇者の存在ほ皆が知ることになった。
翌日のお披露目で、ティファが勇者であることを国が追認したかたちとなった。
なお、国による調査が行われた。
何故モンスターが突如現れたのか?
何故勇者が街中にいたのか?
何故騎士団は全員ダウンしていたのか?
勇者が証言した『アイン』という騎士は存在しなかった。
謎が多い状況ではあったが、調査は成果を出せなかった。
騎士『アイン』が存在しないと知ったティファは、あれは神様の使いなのだと考えた。
ピンチで立ち竦む勇者の背中を押す為に、神様が遣わせてくださったのだ、と。
そして、勇者が『神様の使い』と発言した為、一部では『神騎士アイン』などと呼ばれるようになった。
もちろん、そんなことを魔王は知るよしもない。
魔王城に戻った俺は、
「リノア、これで明日休んでも問題無いよな!」
「問題ございません。
明日は入学式をお楽しみください。」
リノアが笑顔で答える。
「やった~!!」
「良かったですね♪」
エリーも一緒になって喜んでくれている
メキラも無言でグッと握り拳を作った。
彼女なりに祝ってくれている。
こうして、みんなの協力で家庭の危機を乗りきることが出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます