入学式と勇者の旅立ち 7

だが、まだ諦めないぞ!


「メキラ、来てくれ!」


人知れず冒険者を次々に路地裏に捨てていたメキラがこちらに駆けつけた。


凄まじいスピードだね。


「メキラ、まずはこれを着てくれ。」


俺は真っ赤なフードとマントを渡す。

メキラは何も言わずに装備してくれる。


俺はメキラにフードを目深にかぶらせる。


「この格好でバルーンゴーレムたちを倒してくれ。

魔法は使うなよ。

単純に剣で倒せばいい。

メキラがゴーレムを倒した後に、勇者にフードとマントを着させて替玉にするからな。」


コクッ

「・・・わかった。」


メキラが駆け出したかと思うと、もうバルーンゴーレムにたどり着いていた。

1体

2体

3体

次々に切り捨てる。


速いし、キレッキレッ。

コケて気絶した勇者とはえらい違いだね。


あっという間に最後の1体。


俺はティファを抱えたまま、気配を消して潜んでいる。


なんやかんやでスパッとメキラが最後のバルーンゴーレム倒す。


いやいや、早過ぎでしょ。


フードで顔は見えないが、ドヤッて態度に出ている。


俺はティファを抱えたまま、大慌てでメキラに駆け寄る。


魔法で3人の姿を見えなくする。

メキラにフードとマントを脱がせ、メキラは退場。

ティファにフードとマントを着せて、気絶を回復させる。

立たせてはいるが、まだ体に力が入っていないため、支えている。


「・・・うっ、あれ?

えっと、、、」


状況が理解出来ず、キョロキョロするティファ。

ここは力業で押し通す!


「よく頑張りました。ティファのおかげでモンスターはもういませんよ。」


「えっと、、、あの、、、

私、全然記憶がなくて、、、

何があったんですか?」


「記憶がないんですか!?

ティファがモンスターを全部倒したんですよ。」

我ながら完璧な演技だと思う。



「あれは勇者さまだわ!」

「勇者さま、ありがとー。」

遠くから勇者を讃える声が聞こえる。


・・・相変わらずエリーは棒読みだな。

だが、つられて何人もの人が勇者だと口にしている。



「ティファ、勇者として、みんなの期待に応えましょう。」

俺はそう言いながら、ティファのフードを外す。


「さぁ、剣を掲げてください。」


ティファはオロオロしながらも、俺の言葉に従い、剣を天に掲げた。


オオォォォォ!!

それを見た観衆からどよめきがおこる。


これでトドメだ!

俺は大声で、

「我々は救われた!

勇者さまがモンスターを全て倒してくださった!

勇者さまの勇気を讃えよ!」


オオォォォォ!!


私は小声で、

「ティファも一言でいいから、覚悟をみんなに伝えて。」

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