入学式と勇者の旅立ち 3
作戦を始める前に、この異世界のことを説明しよう。
イメージは中世ヨーロッパ風だ。
街は石畳が敷かれ、洋風な家が建ち並ぶ。
移動手段は徒歩か馬車。
戦いになれば、鎧を着けて、剣や槍、弓で戦う。
俺の世界の中世ヨーロッパと大きく異なるのは、魔法やモンスターの存在だろう。
銃は無い代わりに、手から火の玉を出す人間はいる。
野原やダンジョンにはモンスターが闊歩している。不用意に近づけば命はない。
そして、世界は大きく2分されている。
人間の勢力圏と魔王の支配地域だ。
人間は勢力圏を広げる為に魔王に挑み、ある時は勝利し、ある時は敗北する。
そんなことを繰り返している。
そんな人間と魔王の戦いで鍵を握るのが『勇者』の存在だ。
勇者は産まれた時から勇者な訳ではない。
普通の人がある日突然、神から勇者に任命されるのだ。
勇者と魔王のサイクルを簡単に説明しよう。
・魔王が存在している。
↓
・勇者が神から任命される。
↓
・世界を旅してレベルアップ、装備強化。
↓
・魔王に挑む。
↓
・魔王が勝てば再び勇者任命から繰り返す。
・勇者が勝てば平和を手に入れる。
↓
・新しい魔王誕生
こんなことを延々に繰り返している。
何故、こんな面倒な仕組みが出来上がっているのか?
それは神のみぞ知る。
しかし、推察は出来る。
人間と魔族の全面戦争を避ける為だろう。
戦いの中心を勇者と魔王に集中させることで、戦禍の拡大を避ける仕組みなんだろう。
黙って待っていれば、勇者が倒してくれると思っていれば、無理して命懸けで戦ったりしないだろう。というのが神の筋書きだと俺は思っている。
そして、その神の筋書きを歪めるような行為は避ける必要がある。
魔王と言えども神に反する行いは出来ない。
もし仮に魔王が勇者のいないタイミングで全力で人間を滅ぼそうと全軍で攻めた場合、いきなり無茶苦茶強い勇者が現れて、呆気なく倒されてしまう。
という展開が待ち受けている。
ご都合主義が全力で相手をサポートする感じかな。
だからこそ、神のルールの範囲から逸脱しないように行動することが大切だと考えている。
だから、
『いきなり勇者を殺す』のはNG 。
『勇者の登場を少し早める』はOK 。
俺には冷静なリノアと知識豊富なエリーがいる。過去の事例などから、許される範囲内で作戦を立案、実行するようにしている。
さじ加減が難しいがなんとしてでも成功させてみせる!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます