入学式と勇者の旅立ち 2

「それはなりません。

勇者が誕生した時に魔王様が脅すのは伝統です。

それを無視など出来ません。」


「くそっ!

娘の入学式は絶対に行くからな!

何か方法は無いか、、、」


ここでエリー、

「魔王様、入学式とは何でしょうか?」


「俺の世界にある教育機関に入る時の式典だ。

子供の成長を感じる為の大切な儀式で、これを仕事を理由にキャンセルなどしたら、一生言われるぞ。

いや、、、下手をすれば離婚につながるかも!?」


「離婚?」


「一家離散だ。

俺の幸せな家庭が崩壊してしまう!」


「一家離散は大変ですっ!?」


「世界を破壊する前に家庭を破壊する魔王様、というのも一興かと。」


エリーとリノアで真っ二つに反応が分かれた。

獣人は家族などを大切にすると聞いている。

一家離散は嫌なのだろう。

リノアは悪ふざけだと思う。


「俺の幸せは勇者にも神にも奪わせん!!」


「・・・殺る?」


メキラがボソッと怖いことを言う。


「ダメよメキラ。

さすがに旅立つ前の勇者を奇襲して殺すのはルールに反するわ。」


メキラは無言でコクリと頷く。



「・・・いや、

メキラの考え方は悪くないかもしれんな。」

俺はニヤニヤと笑う。


「何か良い案がございましたか?」


「細かいところはこれから考えるが、

ざっくり言えば、雑魚モンスターをけしかけて勇者の登場を早めてしまう。

という作戦だ。

どうだろう?」


「作戦としては悪くありません。

しかし、都には騎士団がおります。

モンスターが現れてもレベル1の勇者をいきなり矢面に立たせるようなことはしないと思いますよ。」


リノアは冷静に分析している。


「そうだな、、、

どうやって勇者を引っ張り出すか。

更にどうやって勇者に活躍させるか。

そこが課題だな。」


「やはり陽動作戦ではないでしょうか。

過去にも勇者を狙う為に護衛を陽動で引き離すことはあったようです。

ただ、人間も警戒はしているでしょうから、簡単ではないでしょう。」


エリーが過去の事例と対策を検討し始めた。


「俺の家庭を守る為に協力してくれ!

俺は娘から嫌われてまで魔王の仕事をするつもりはないからな。

意地でもイベントを早めるぞ!」


「「「「おぉ~!」」」」


4人の気持ちは1つになった。

後は最善を尽くすのみ。


『勇者いきなり大活躍作戦』の開始だ!!

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