三章

 今日は仕事がお休み。

 公園に散歩にでも行けば、気分転換になるのかな。近所の公園は、歩いて十分くらい。

 のどかな公園のベンチに座っていると、一人のおじいさんが近づいてきた。もしかして話しかけてくる?面識はないのに。

 彼を見て、自殺したというおじいさんの顔を思い出した。

「こんにちは」

 思った通りだ。

「こんにちは」

 そして、10秒ほどの沈黙が流れた。

「この年寄の話を聞いてもらえますかい」

「いいですよ」

 愛想笑いを浮かべる。

 つまらなくても聞く。それが最善だから。

「もう90年、生きているが人生の目的というのを見いだせいいてない。

 それでも良いかと思っていたが。もう、目的がないことにはうんざりなんだよ」

「……そうなんですか」

 なんとも言えない気持ちだった。そうすると、てんとう虫が方に止まった。

「知っているかい?てんとう虫は漢字で天道虫と書くんだ。今の私にふさわしいのかもしれない」

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