二章

 時々自分についてわからなくなる時がある。

 あの時自殺したというおじいさんの孫という人が来た。

 彼の両親は事故でなくなっており、おじいさんと二人暮らしだったという。

 ちょっとした抗議だった。金を貸さなかったことへの。だがおじいさんが自ら辞退したものだと知った時、彼は泣きながら銀行を後にした。

 自分が担当したことだっただけに、傷はえぐられた。

 だがそんな事があっても、スマイルをなくすことは許されない。


 今日も業務が始まった。別に仕事は嫌いじゃない。だが、辛いことも多い。

「杏奈さん」

 そう話かけてきたのは、同じ銀行員の佐藤さんだった。佐藤さんは30代前半の男性で、独身という話を聞く。

 だから何だという話だけど。別に好きでもないし。


 仕事をして楽しいのか。どうなのだろう。

 もう自身の心も読み取れない。

 ポエムっぽいけど。

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