一章

 私の名前は杏奈あんなしがない銀行員。

 仕事はブラックかと言われれば全然。みんなが助け合う楽しい職場。

 お金を借りに来る人も多いけど、そんな人にも優しく対応する!

 今日も借り入れについての相談に来る人が来た。対応しないと。

 その人は60歳くらいのおじいさんだった。

「フリーローンを組みたいんですが……」

「では、こちらへ」

 そうして色々説明をし、借入金額を聞く。

「2000万円ほど……」

「その金額ですと有担保型のローンですね」

「た、担保?」

「そうです。人でもいいですよ。連帯保証人ということで」

「頼れる人なんていませんよ」

「では物的担保ですね。土地や不動産でもいいですよ」

「一応小さい一軒家に住んでますが……」

「ではそれを担保に。抵当権というものがあるので住んだままで結構です」

 そうこう話していると審査は通った。だが……。

「でも、私は――――」

「いや、やっぱり辞めます。返済できない気がしました」

「左様ですか」

 営業スマイルを浮かべながら言う。

 あとから聞いた話だが、あのおじいさんは数日後に闇金の返済ができずに自殺したそう。

 家を売らなかったのが悪かったんだよね。


 さあ、今日も仕事が終わった。我が家(1LDK)に帰ろう!

 ゴミ袋が散乱してるけど片付ける気が起きないな……。

 そんな事を考えていると窓に、てんとう虫がついていることに気づいた。赤と黒の斑点が意外とかわいい。

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