柚子と雪

<柚子視点>


私達は、敵の基地に突撃した。

正面衝突じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

と、思ったが…

どうやらこの基地、色々な妖がいるらしい。

種類も数も多い。

負ける…程ではないが、これじゃあ時間かかっちゃうじゃん!!


「おい、柚子!」


悪魔、悪夜に呼ばれる。


「てめぇは奥まで突っ走れ!獲物は全部俺のもんだ!!!」


単なる優しさなのか、自分が狩りをしたいだけなのかはわからないが、その方が効率もいいだろう。


「やりすぎないでね!!」


敵の基地内は大きな球体の空間だ。

飛べない人間だったら、入った瞬間終わりだろう。

だって、出入り口は球体を登らないと無いから。

ま、こっちは全員飛べるんだけどね。

ほうきに乗って、なるべく早く、雪のもとに行く。 

後ろから、守とヴァルも来てたけど、遠慮無しに飛ばした。


奥まで来ると、やはり、雪が捕まっていた。


「おっ、お仲間かい〜?」


人の姿をしている。

しかし、この感じ、人外の力を持っている。

それも、妖の。


「雪を返して!」


睨みつけながらそういう。


「返すわけ無いだろう。」


さっきの妖とは違う、冷静そうな妖が言う。


「それに、お前たちはもう逃げられない。」


「どういうことだ?」


冷静な妖に対して、ヴァルが問う。

その瞬間


「主!後ろ!!」


後ろから、沢山の妖が来ていた。

悪夜達が殺られたとは考えにくい。つまり…

悪夜達を避けて来たのだ。


「お前らはもう、終わりってこ・と〜!かわいそうだね〜負け犬ちゃ〜ん?いや、負け魔女ちゃ〜んw」


最初に話しかけてきた妖がそういう。

そして、続ける。


「なぁ、人間?お前のせいで、お仲間が死ぬよ?」


「!?」


その言葉に、僕はついにぶち切れた。

雪は、自分を悪いって永遠に責めるようなネガティブ馬鹿だ。

その言葉は、雪によく刺さる。

それに…雪のせいじゃ、無い。


「お前、ふざけんなよ」


雪のせいじゃない。

こうなってるのは、全部…

僕の…せいなんだ…






遡り、時は雪と私達人外が出会った時。

不良を追い払った後。


「代々家がって言ってたよね?家ってどこなの?」


僕がそう聞いた。


「霜野です。だから僕は、霜野雪。」


霜野。その言葉に全員驚いた。

人外でも有名な、人間御三家がいる。

人外を亡くすこと、つまり力に特化している、霜夜

人外の世界について詳しい、霜霧

そして、人外に対しての武器や道具を作ることに駿れている、霜野。

恐らく、雪の霜野とは、この霜野なのだ。


そして、僕らにとって1つ、まずいことがある。

それは、人外絶滅会略して、という存在があるから。

人滅会とは、名前の通り、人外を滅ぼす会だ。

その名前は伊達ではなく、実力も上。

そして、さっきの人間御三家は、勿論人滅会に所属している。

だから、まずいのだ。


「てことは…人滅会の…」 


まもるんや、皆もそれを察して戦闘態勢に入ろうとした。

けど


「あ、いや…確かに、家的には人滅会の一員。だからここで、あなた方を倒すのが本来の使命なのでしょう。けど僕は正直…そんなものに興味ないですし…それに、助けてもらったのにそんなこと、できないですよ。」


むしろ何か、お礼がしたいです


そう言う雪に、私達はポカンとしてしまった。

油断させたいのか、とも思ったけど、周りにそれっぽい人もいない。

本気なのだ。


「信じて…いいんだな?」


ヴァルが聞く。

雪が頷く。


「お礼…お礼ねぇ〜」


美希姉が言う。

お礼か…


「そうだ!」


ひとつ、思いついた!


「僕たちは、人間界をまだあまり知らない。だから…教えてよ!人間界を!!」


「人間界を…教える…?」


「そう!僕たちここら辺に住んでるからさ…」


「ふふっ。」


突然雪が笑った。

なんでか分からなくてポカンとしていると、理由を教えてくれた。


「いや、ごめんなさい。こんなに信用してくれるんだなって思って。」


そして、フードを深く被ってから小さく呟いた。


「今までは、家柄のせいで色んな目にあってきたから…」


けど、僕たちには聞こえなかった。

雪が、改めて僕たちを見る。


「いいですよ。人間界のこと、教えます。…それなら、近くに住んたほうがいいですよね…」


そう言って考え込む雪に、さらに僕が提案する。


「あ!僕らが住んでる家…てか、城なんだけど、部屋空きがあるから、そこに一緒に住まない?」


「…い、いいんですか?なら、お言葉に甘えて…」


こうして、その後も色々決めて、今みたいになったのだ。つまり…

僕が、提案しなければ、雪は、こんなことには…


…だからこそ。

今、雪をひどい目に合わせている、お前らは…


「許さない…!!!!」


パキッ…


何かが割れた音がした。

けど今は、それどころじゃなかった。


to be continued…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る