誘拐
「雪〜帰ろ〜!」
放課後、今日は柚子が来た。
でも僕は、いつも通り掃除を押し付けられたので、先に帰らせた。
しかも今日は、それに加えて先生からプリント運ぶのを手伝ってもらうようお願いされていたのだ。
当然、帰る頃には辺りは真っ暗だった。
山に家があるのと、田舎なのとで、僕は人がいない暗い道を沢山通らなければならない。
こうしてみると…雰囲気すごいな…
「おいおい兄ちゃ〜ん。一人でこんなとこ歩いてると危ないぜ?」
「え?」
振り向いたが遅かった。
何かで頭を殴られ、僕は立てなくなってしまった。
「よし。今日の生贄獲得〜♪」
「おい。浮かれてる場合じゃないぞ。見つからないうちに行くぞ。」
声的に、男二人組だ。
しかし僕は、気を失ってしまった。
<柚子視点>
「ねぇ〜ゆきゆ遅くなぁい?」
ふと、猫又の美希姉が言った。
確かに、雪からの『今から帰る』という連絡から大分経っている。
「今日は掃除だけじゃなかったのかな…?」
「そうだとしても、遅すぎるだろう。」
僕の溢した言葉に、閻魔のヴァルが言う。
「…少し、見てくる。」
吸血鬼のアノルがそう言って、コウモリの姿になって窓からどこかへ行ってしまった。
アノルが見てきている間、ホールと呼ばれている玄関のすぐ前にある大きな空間は、静かであった。
嫌な予感がする。
今、有名な噂。
"血祭り"
前に少し、聞いたことがある。
子供…といっても、高校生とかもさらわれる。
そして、さらわれた子どもたちは、皆…
霊感が強い
もし、もしも…
僕が雪をこの街に連れてきたせいで雪がさらわれていたら…
どうしよう…
しばらくして、アノルが帰ってきた。
アノルの様子を見て、皆察していた。
アノルが口を開いた。
「雪は…いなかった」
空気が変わる。
緊張に
「通学路以外にも、色々と見て回ったが…どこにもいなかった」
「てことは、考えられる可能性は…」
天使の梓ちゃんが言った。
僕はそれに頷いた。
「「血祭り」」
「血祭り?」
悪魔の悪夜だけが聞き返した。
「子供から、高校生までの人間をさらうやつだよね。さらわれた子たちは誰も帰ってきて無くて、殺されてるとか、儀式に使われてるとか。」
そう話す、ケルベロスのまもるんは、いつものふわふわした感じはなく、真剣な顔をしていた。
「…どうするの?」
梓ちゃんが、僕の方を見て聞く。
他の皆も僕の方を見る。
「決まってるでしょ…そんなの…」
机に思い切り手をついて立ち上がる。
「雪を取り返すよ!!ついでに、人間界を荒らすっていうのはどういうことか、教えてやろう!!!」
「「
おう!!!
うん!!!
りょ〜かい !!!
だよね!!!
勿論だ!!!
」」
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