第3話

その後、私と宏は男子トイレを脱出して、午後の講義をさぼり、宏のアパートに来ていた。


「で、病院には行ったの?確かアンタの叔母さんが内科の病院やってるでしょ」


部屋の中央にあるソファーに腰を下ろして、私は宏に聞いてみた。


「うん、行って検査してもらった」


「で、検査の結果は」


「おばさんが喜んでた」


「・・・・・・」


そうなのだ。宏の叔母さんは根っからの腐女子で、美人なのに腐女子なぞやっているから、30半ばになってもまだ独身なのだ。


「20年以上腐女子やってるけど、ついにこの日が来たわ。処女受胎ならぬ童貞(じゃないけど)受胎奇跡をこの目に焼き付ける生き証人になるんだわー!」


ちなみに叔母は重度のBLマニアなのだ。


宏の話を聞きながら、私はは激しい頭を抱えたままソファに倒れこんだ。


「俺は生むつもりなんてないって言っても叔母さん一度ゾーンに入るともう他人の声なんかまったく耳に入らないから」


ああー、宏の周りの人間って、どうして変人ばかりなの!


「まあ。まだほとんど目立たないし、そのうち何とかなるんじゃないかな」


「あのね、世の中そんなに上手くいくわけないでしょ。あんたが妊娠に気づいたのいつ頃」


「春のサークルの新歓コンパの翌日から、なんだか身体の具合が悪くなった」


「その時に何かあったのかも。そういえばアンタあの時公園で夜明かししたんだっけ」


女子たちは早々に切り上げたが、男子は朝まで桜の木の下で酒盛りを続けていた。  


名探偵由美ちゃんの灰色の脳細胞に電撃が走った。


「間違いない。宏アンタその時に宇宙人に拉致されて人体実験をされたのよ」
















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