第2話
え、なんで、どうして、私こんなところにいるの。
そこは四方白い壁に囲まれた狭い部屋で、中央に椅子があり、互いに背中を壁にくっつける形で見つめ合っている。
「ひ、宏。あんたまさかここで・・・」
「・・・・・・」
私は顔を真っ赤にし、震える声で呟いた。宏は私とは正反対で顔色一つ変えず、ただ狼狽える私を静観していた。
ここは若い乙女には禁断の場所。
近づくだけもはばかられる暗黒の領域。
そうここは男子トイレの中なのだ!
午後の講義は始まっているので、通路の人は少ないが、いつ人が入ってきてもおかしくない。こんなところ他人に見られたら私の大学生人生は終わりだ。
「宏、あんたまさかここで」
宏のやつ、私の言葉を無視して、シャツのボタンを外し始めた。
そりゃ、二人とも大人だし、彼女になって半年以上経つんだから、当然”なかよし”も何度もしてるけど、真昼間に大学の男子トイレでなんて。
「私たち恋人同士なんだから別にするのは嫌じゃないけど・・・」
ボタンを外し終え、ベルトを緩める宏。
「せめて下着が新品の時に!」
私は目を閉じたまま大声で叫んでいた。
「ほら、ここ膨らんでるだろ」
「え?」
宏は私の手を掴んで自分の下腹部に触らせた。
「う、嘘でしょ」
宏の下腹部が、そのスレンダーで細マッチョな身体に不釣り合いなコブがぷにぷにと私の手の中で揉まれていた。
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