第2章(その2)

 連邦と連合の戦争、いわゆる『汎人類戦争』はわたしが生まれる前から続いている。

 連合が連邦に侵攻したのだ。きっかけは当時の緩衝宙域で発生した『キロヴォグラート号事件』と呼ばれる事件とされている。戦略的奇襲をうけた連邦は対応が後手にまわり、国境警備艦隊の奮戦にもかかわらずいくつもの星系を失陥することになった。

 開戦から50年以上経った現在は連合が連邦の辺境星域を侵食した状態だ。互いの勢力圏の境界にある星系をめぐって、一進一退の状態が続いている。星系を自軍の勢力圏に取り込んで攻勢、防衛、補給ネットワークの拠点とするためだ。星系の攻防戦は規模の点では開戦当初の戦闘には及ばないが、激烈さにおいては全く引けを取らない、場合によっては凌駕するほどと言われている。

 主戦宙域ではない宙域に展開している戦闘艇戦隊が駆り出されるほどとは正直思っていなかったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る