第17話 Baby love(17)

買い物をした帰り、公園のベンチで休んだ。



子供たちが元気に遊んでいる。



その歓声を聞きながら




子供って。



この寒いのに元気だよな・・



妙な感心をしてしまった。



そしてふと見ると、自分のように一人で子供を連れている父親が結構いる。




休みの日くらいって



みんな頑張ってんだろうな。



頬杖をついてぼーっとしていると



「何カ月くらいですか?」



声をかけられ振り向いた。



おばあさんがベビーカーの翔をにこやかに覗き込んで言った。



「えっ・・」



一瞬、何を聞かれているのかがわからなかった。



きょとんとしていると



「ぼっちゃんですか。 生まれてどのくらいですか、」



おばあさんはそう聞きなおしてくれた。



「えっと、」



ようやく意味がわかったが、ふと考えると翔がいま何カ月なのかわからなかった。



「く・・9月の末の生まれですけど。あ、もうすぐ5か月、くらいです。」



間抜けな答えをしてしまった。



「そうですかあ。 元気そうで、目がぱっちりして。 いい赤ちゃんですねえ、」



おばあさんはにこにこしながら翔を見た。



いい赤ちゃん・・



そのほめ言葉に斯波はジーンとしてしまった。



「い、いえ。 そんな、」



ほめられても謙遜も同意もできない。



自分の子供をほめられる、というシチュエーションなんか



生きてきて想像したこともなかった。



「今のお父さんは子供の面倒もきちんと見て。 羨ましいわねえ。 あたしなんか5人も子供を産んだけど。 うちの主人はお風呂にも入れたことがなくて。 まあ、昔はね。 子育ては女の仕事だって当たり前だったから。 でも、こんなに小さいころからお父さんが手をかけてやれば、きっと大きくなってもお父さんのことを頼りにしてくれる。 子育ては夫婦でしていかないと。」



おばあさんの言葉は身にしみた。



「もう寝がえりなんかはするの?」



と訊かれて




「は???」



寝返り???



「もう少しかしらねえ。 元気に手足を動かして。 じきにするようになるわよ、」



おばあさんは翔の手をとってあやしていた。



寝返りって・・寝てるときに身体の向きを変えるってヤツだよな・・・



あれ? コイツまだしたことなかったっけ???



斯波は首をひねった。


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