5年前⑱
目が覚めた。カーテンを開けると、外は夜だった。夜であるのにカーテンを閉め切った部屋よりは明るくて、光が目に刺さるかのようでチカチカする。
なんとなく誘われるように外に出て、夜道を歩いた。
地面のコンクリートがツヤツヤしていて、よく滑る。きっと、昼間は雨が降っていたんだろう。
昔よく遊んでいた近所の公園に入った。砂場の縁に立ち、見下ろす。目には泥団子を作る幼い僕が写っている。泥団子を作ろうかと思うが、辞める。雨で濡れた砂を触ると手が汚くなると思ったからだ。
公園から出て、駅に向かった。改札を前にして、定期券を持っているか不安になったが、ポケットに入れていた財布に定期券が入っていたから改札を通ることができた。
駅に入った時点で周りの人からの視線を集めていることは分かっていたが、電車の中でようやく僕は寝巻きのまま家を出ていたことに気づいた。上下ダボっとしたスウェットにクロックス、髪も寝癖でぐちゃぐちゃだった。恥ずかしいと思ったが、着替えもないし、櫛もないのでどうしようもない。身を縮めるようにして、せめても存在感を消すことにした。
電車を降りると、海の香りが胸に入りこんできた。嗅ぎ慣れた香り。ここは高校の最寄り駅だ。
駅舎から出て、学校への通学路の国道を歩く。度々、バスケ部の知っている顔の後輩が目に入る。恐らく部活終わりだろう。髪で顔が隠れていたからか、あちらは僕に気づいていないみたいだった。というか、今の僕は部屋着にクロックス姿だ。気づかないのはそれが原因かもしれない。
途中で、通学路から逸れる。湿った土の匂いと海の香りが鼻に入ってくる。そして、どんどんと海の香りの存在感が強くなるのを感じた。
黒い海が見えた。火照った頬を涼しい海風が撫でて、身震いした。
砂浜を歩くと、雨でしっとりしていてクロックスの形の足型が踏みしめるたびにできていく。クロックスにどんどん砂がつくし、砂浜を踏むたびに少し埋まるクロックスを引き抜くのにも力がいるので僕は裸足になった。
前から波が押し寄せ、引いていく音が聞こえる。辺りは暗くて何も見えなくても、その音だけで波の輪郭が正確に思い浮かべられる。
波は動物に似ている。動物の大群が押し寄せるみたいな音がしたと思ったら、何かに失望したみたいに足を引きずりながら帰っていく。そんな波の姿が、音を聞いただけで明確に浮かんでくる。
僕は波の当たらない場所にクロックスを置いて、海の方へと歩いて行った。水面を足で切り裂くように足を海に押し入れる。
海が僕のくるぶし辺りに水をかけてきた。さらに進む。波が引いて、押し寄せる度に水が足を隠す面積が増えていった。
スウェットを腿のあたりまで捲り、膝の真ん中くらいまで海に浸かりながら空を仰いだ。赤石を晴子が殴りつけたあの日みたいな綺麗な星を剥き出しにした空と目が合う。適当に星座を描くまでもなく、アンドロメダ座が燦然と輝いているのが見える。鎖に縛られるアンドロメダ姫の姿が目に浮かんだ。星座に明るくない僕でも、昔プラネタリウムで聞いたアンドロメダ姫の話を知っている。
エチオピアの美しい王女だったアンドロメダ姫のことを母であるカシオペア王妃が周囲に自慢し倒した。そして、そのあまりの驕りっぷりは相当で、やがてアンドロメダ姫の美しさは神にも勝ると言ってしまった。その後はなんとなく察しがいくが神々はキレた。キレすぎて、とうとう海の怪物ケートス、星座でいうところのクジラ座にアンドロメダ姫を生贄として差し出せれることにしてしまう。
怒り心頭に発しっていたのは百も承知だが、あまりに大人気ない処遇だ。
大層怯えたアンドロメダ姫だったが、その後白馬に乗った王子様よろしく、ペガサスに乗った英雄ペルセウスに救出されるわけだが、この話を聞いて僕が思ったのは罰を受けるのは普通、アンドロメダ姫ではなくないかと言う事だった。普通、神にも勝るとか吐かしたカシオペア王妃の方が罰されるのが筋ではないか。海岸に鎖で縛りつけられ、今まさにケートスの腹に収まりそうだという時のアンドロメダ姫もきっと納得しかねただろう。私じゃなくないですか?
じゃあ、僕らの場合は誰が十字を背負うべきだったのだろうか。赤石の浮気、殺人を犯した黛、或いは、僕。
誰が海の怪物に深海に引き摺られていくべきだったのだろうか。神は誰に憤慨したのだろうか。
息を吐く。口を開けると、顎と歯が震えた。やはり外気に比べると海は冷たい。身を震わせると、ふと以前に考えたことを思い返した。
海と空は、美しい青の裏に果てしない未知の世界を隠していると。海も空も、本質を隠していて普段見せている青い光景は上っ面に過ぎないと。
それで言うと、夜の海や空は昼に比べて正直かもしれないと思った。夜の海と空は、内奥にある暗黒を隠そうとせずに曝け出している。こんなに得体のしれない海が昼間には美しいと感じるのだから不思議なものだ。今に怪物が出てきそうな雰囲気すら醸し出しているのに。
だからだろうか。
楽になりたい、もう疲れた、このまま終わりたいと思った。
どこか夢見心地だった。頭に靄がかかっていて、ぼんやりとしているような。だから、僕を包む不安感から逃げ出すために、目の前にある暗黒へ身を委ねてみたくもなる。
『別にいいじゃん』
かつての晴子の声が聞こえた。周りを見ても晴子はいないのは分かっている。幻聴だ。でも、僕はその言葉でこの世への執着を失える。唯一心残りだったのが、晴子だから。唯一、罪を背負っていないのが、晴子だから。
何も考えたくなかった。だから、何もしなくていいようになろう。
寒くて、黒くて、どことなく余所余所しい世界へと、身を進めていく。水に浸かる部分がどんどん広がっていく。熱が、失われていく。命が肉体から剥がれていく感覚だと思った。熱が体から海に溶け出ていく。そして最後には冷たい骸がそこには残るのだろう。
「死ぬのちょっと待ってくれない?」
聞こえた声に驚いた。後ろを振り向くと、砂浜に立っている男がいる。
「少し、話したいんだけどさ。戻ってきてよ、ここまで」
「…」
顔は見えないがやけに明るい声で男はそう言った。頭の中を疑問が埋め尽くしていた。あの男は誰なのか。僕のことを知っているのか。そもそも、僕が死のうとしているのを察しているのなら止めようとするのが普通じゃないのか。もっとも、僕は止めてほしくはないし、そっとしておいて死なせてほしいのだけど。
「帰ってきてよ。少しで良いんだ」
沸き続ける疑問を整理しているのに、男は両手をぶんぶん振って僕にアピールしてきた。なんかあまりに無神経だったものだから怒りを通り越して、呆れてきた。今から死のうと思う人間がどんな気持ちか想像してみてほしいところだ。
どうでも良いか。変な男のことなど無視して終わらせよう。深く考えてはいけない。
僕は振り返って足を前方に上げた。もう胸の辺りまで体は海に浸かっていた。まだ体の軸は安定しているが波の飛沫は顔にかかってきているし、そろそろ足がつかなくなるだろう。そのまま体の熱を海に流すようにして、沈んでいけば良い。
「ちょっと、待ってよ」
焦って色々騒いでいる男の声を無視して進む。波が強くて足を上げることも難しくなっていた。体の軸がぶれて、どんどん自分を制御できなくなっていた。このまま引きづり込まれれば、もう戻ることはできないだろう。
意を決して飛び込もうとした時、
「黛の話がしたいんだ。戻ってきてくれ」
波の音がうるさくて、ほとんど男の声は聞こえていなかった。けど、黛という言葉だけを僕の耳はきちんと聞いた。
黛のことを知っているのか? 何をこの男は知っている? もし、そうなら。
彼の元へ戻ろうと咄嗟に踏みとどまろうとしたが、飛び込もうとした勢いが付いていて止まれなかった。僕はそのまま海に向かって顔から倒れた。
水面に顔が入る時に目を咄嗟に瞑ったが、倒れ込んでから海の冷たさに驚いて、すぐ目を開けた。
淡い月明かりは海の中ではあまりに心許なかった。どこまでも暗い海が僕を死の世界に迎え入れようと、手を広げているようだった。
途端に怖くなった。このまま体が前に引き摺られるのは死を意味する。前からそれを理解していたのに、死を手前にして僕はどうしようもなく恐れを抱いた。この暗い水の底に僕の腐った死体が寝ているのを想像すると、吐き気すらする。
僕は急いで体を反転させた。みっともなく腕も足も使って必死に砂浜まで戻ろうとした。泣きながら手で水をかき、足で地面を蹴った。途中、足の裏に何かが刺さったり、海水が口に入り、肺に入ったりもした。
痛くて、怖かった。死にたくなかった。生きたいわけではない筈なのに、どうして、生に執着するのだろう。
やっとの思いで砂浜に辿り着いた。肩で息をしながら、砂浜に蹲った。砂ですら温かく感じるほどに体は冷え切っていた。体を震わせながら、咳き込むと背中をあの男がさすってくれた。
「よく頑張ったな」
息を整えながら、その男の方向を見た。長袖のシャツを羽織っているその男は僕にハンカチを差し出して、にこりと笑った。
「…どうも」
ハンカチを受け取ると男は頷いて立ち上がった。そして、海を眺めながら口を開いた。
「海はきっと果てしない穴に見えるんだな」
「え?」
「なにもかも入れたら、隠せてしまう穴だよ」
男は海を指差した。
「海に百円玉を投げ入れたとして、それは俺らは探し出すことはできない。海に物を隠すというのは手元から完全に離れることを意味する。だってそうだろ? 俺らからすると、それをもう再び自分のものにすることはできない。百円玉は海の物だ」
何を話したいのだろうと思いながら、えずいた。喉が焼けそうなほど痛かった。
「だから、君は海に隠れてしまいたくなったんだな」
誰からも見つからないように、と男はそう言った。何を言っているのだと思った。彼を見るが、顔は無表情で何を意図していたのかは結局分からなかった。そして、またえずいた。
「落ち着いたら、話そうか」
男はそう言って蹲る僕の横に腰を下ろした。
しばらくの間、重い質量が押し寄せては地面を引きずりながら去っていく波の音と、僕が不規則に喉を鳴らす音だけが聞こえた。
もしかしたら、横の彼は僕が死ぬ間際に見た幻なのではないかと思った。けれど、横を確認すると確かにそこには体育座りで海の方を見ている薄手のシャツを着た男がいた。
彼はこっちを向いた。
「大丈夫かい?」
「…いぢおう大丈夫」
喉が思いっきり枯れていて不要な濁点が付いたのを見てか、彼は横から水の入ったペットボトルを寄越してきた。それを受け取ってから僕は一思いに飲み干して、空になったペットボトルは海に投げた。ふわふわと空に放物線を描いたそれは、波の上に乗って流れて行った。
「さすが、自分が海に沈んでいこうとする位だから、ペットボトルを海に沈めるのに躊躇いがないね」
笑いながら言う言葉を僕は無視すると、彼が尋ねてきた。
「なんで死のうとしたんだ?」
背が強張ったのを感じる。いや、元から全身が痛みで強張ってたから、さらに強張った。
「…分かってるんじゃないのか?」
「君の口から聞きたい」
男から、有無を言わせぬ迫力を感じた。というか、これから黛の話をするというのだから、まず前提としてこの話はしないといけないというのも僕は分かっていた。
考えを巡らすと、すっかり酔いが覚めているのが分かった。さっき、たくさん体を動かす羽目になったからアルコールは回っているはずだが、生命の危機に瀕してみるとアルコールの眩暈など些事なのだろう。
頭のモヤが晴れると、思い返さないようにしていた記憶が鮮明に思い出される。指にへばりつく感覚、中から出る不快な香りに、海に彼を手放した時の途方もない喪失感を、今まさに体験しているように感じられた。
体の震えが止まらなかった。まともな頭だととても受け入れられないような、重い罪悪感が湧き上がる。細かい疼きが体を包み込んだ。
「僕は殺人を犯した黛を、殺したんだ」
海水を飲んだため口が塩っぽい。だからか、僕の声は掠れていた。所在なさげに放り出された言葉を今一度僕は咀嚼し、また自分の行為を意識した。僕が、黛一糸を殺した。
喉の底から搾り出したような僕の告白を横の男は頷いて受け入れた。黛が死んだ事も分かっているよと言わんばかりの態度だ。コイツは一体誰なんだ。
わざわざ答えさせておきながら男の反応が薄いのに腹が立った。このままこの男に質問されて答える形式で会話を続けるのが癪だったから、せめてもの抵抗として僕は自分から話を続けた。
「知っているかは分からないけど、最近色々あってね。僕は黛に失望したんだ。心底ね。それに黛に殺された僕の友達の無念もある。彼のためにどうにかして黛に罰を与えなきゃいけないと思った。けど、僕は不思議なことに黛を罰さなきゃいけないという思いと一緒に、黛がたくさんの人から侮辱されたり非難される姿を見たくなかったんだ。…ずっと、それで迷ってたんだ。僕は一体、何をするべきなのか。赤石の無念を晴らしつつ、黛に罰を与える方法を」
「それで?」
「僕が罪を背負うのさ」
怪訝そうな顔をする男に僕は続けた。
「僕が黛の罪を背負うんだ。赤石を殺したという罪を僕が背負えば、黛は罪人にはならないだろ」
「よく分からないな」
「分からなくていいよ」
つれないなと小さく言って横の男はいじけて見せた。僕はそれを無視する。
僕らの間をまた潮音だけが包んだ。それ以上を説明する気はないという意思表示を僕はしたつもりだった。
赤石の死をみんなに悼ませつつ、黛に罰を与えられる方法。それが僕が全ての罪を背負うことだった。
黛は赤石の遺体をコンクリートに詰めて海に捨てることで、完璧に処理した。けど、現代の警察の捜査技術は凄まじいと聞く。結局は何らかの糸口で証拠を見つけ、黛は捕まるかもしれない。
黛が捕まり、犯行の動機が洗われるとどうだろう。そしてそれが世間に知れ渡ったら?
赤石は浮気の発覚後に友人に殺された訳であるからに、心ない者から自業自得だと笑われるだろう。赤石が浮気することと、殺されることは全くの別問題な筈なのに無茶苦茶な理屈で茶々を入れる輩はいる。そんなわけがないと言いたい所だ。
一方、黛は浮気した者といえども流石に殺すのはいくら何でもやりすぎである。常軌を逸してると批判される。これは非常に筋が通った批判だ。その通りだと思う。
赤石は死んだ後も罵詈雑言を浴びせられ、黛はやはり異常者の烙印を押され、惨めな人生を送ることになるだろう。
何もできなかった自分が不甲斐なかった。自分がしっかりしていなければ、こうはならなかったんじゃないかと何度も思った。二人とあんな近くにいた筈なのに、なぜ僕は何も気づかなかったのだろう。いや、気づいていた。だが、見過ごして、事が起きた後にはもう取り返しがつかない所まで来ていたのだ。
どうしようもない。何度もそう思った。
結論のでない八方塞がりの思考を僕は何度も続けていた。僕のせいで…僕のせいで…僕のせいで…。
そこに、一つの解決策が降って湧いた。
僕がサイコキラーを演じれば良いのだ。
僕が内から湧き出る殺人衝動を抑えきれず、二人を殺めたことにすれば良い。僕が警察にそう供述するのだ。赤石も黛も二人とも僕が海に沈めたことにすれば、彼らには批判の手は伸びない。
まさに天啓としか思えない発想が僕に舞い降りたと思った。
僕らはもう戻れない。黛とはもうまともに会話できないだろうし、赤石は死んでしまった。だけど、歯切れの悪い終わり方を納得する終わり方にはできる。
僕なら赤石の浮気の件など一切漏らさないし、黛は外からは完全に善良な学生として見えていたわけだから、外から赤石の殺害を実は殺された黛がやっていたなどとは思われないだろう。つまりは、僕だけが罪を被ることで彼らは哀れな被害者として死を同情され悼まれる事ができる。
僕の計画は完璧だった。
すると、男は釈然としないような表情のまま僕に聞いてきた。
「さっき、君だけが罪を背負うって言ったよね?」
「ああ…」
「じゃ、君は何でまだ捕まっていないんだ?」
男の疑問はもっともだった。
「それは計算違いがあったんだ。僕はあの日、黛を海に捨てた。特に何の処理もせずに」
遺体を何の処理もせず海に棄てると何日か経つと体内に溜まったガスで浮いてきてしまうらしい。それこそが僕の狙いだった。遺体は海に浮いているところを結局どこかで船だとかに見つかったり、陸に上がって来た所をやはり見つかることになるだろう。そうして、僕の犯行は明らかになる。ここまでが計画。あえて犯行をばらすために杜撰な死体遺棄をしたわけだ。
だが、実際は死体が上がってこなかった。
「誰かに見つけてもらおうと思ったんだよ。黛の遺体を。そして、僕はあいつの分まで裁かれようと思ったんだ」
気付けば声が熱を持っていた。改めて僕の計画を認識し直したからだろう。えも言えぬ高揚感が湧き上がっていた。僕の中ではこれ以上ないような落とし所に思える。きっとこれ以上に正解がないと思えるほどに。
赤石の母を思い出す。赤石の行方を案じて、僕の前で泣いていた。赤石が浮気の報いで殺されたとなると、どうにも釈然としないだろう。完全な理不尽の僕を恨む方がかえって清々するに違いない。
遠くに車の甲高いブレーキの音が聞こえた。ヤカンみたいな音は僕の高揚感をそのままに反映しているみたいだった。
しばらくの静寂の後、男は口を開いた。
「なんというか、違うだろ」
全身に冷水を浴びせられたみたいに興奮が引いていくように思った。それから、怒りで肌が震えた。
僕は自分の計画をしっかり説明したわけではない。だから当然かもしれないが、この男は本当に何も理解していない。僕がどれだけ思い悩んだのかもこの男は分かっていない。あの状況でできる最善の事がこれだ。それなのにそんなことを言うこの男に腹が立った。
「あなたは何も分かっていないだけだ。この計画以上のものなんてない。…あなたがどこまで知っているかは分からないけど、結局は僕の気持ちなんか分からないんだ。それをそんな風に言う資格なんて…」
「いや、違う」
僕の言葉を男は飄々とした雰囲気と声で遮った。それが余計に僕の癪に触った。
男は顔の向きをこちらに向けた。そして、僕も今一度彼の様子をしっかり見た。静かに笑っているような彼はなんというか、大人っぽいとは別の異質感があった。まるで僕の心の底を見通しているような雰囲気に、僕はたじろいだ。
男は口を開いた。
「君は罰を受けていない。君はさっき自殺しようとしていた。さっき言ってた事と全く違う」
「は?」
「怖くなったんだろう、君は。罰を受けるのが」
またさっきと同じように反抗しようと思った。けど、口から出たのは言い返す言葉じゃなくて、がちがちと歯が鳴る音だけだった。
「黛が受ける社会的制裁の大きさを理解して、それをかわいそうだと思ったんだろ? 当然、殺人をした人間が世間からどう見られるかを君は分かっていた。きっと事件を起こした時の君は黛の犯行を知ってまともな精神状態じゃなかったんだろう。滅茶苦茶な思いつきの計画に縋り、実行に移してしまった。それから、いざ黛を殺した時に赤石君と黛二人を殺した罪をこれから背負うと言うことを自覚して途端に怖くなった。違うか?」
「…」
おもむろに湿った砂を手で掬って手で丸く形を作る。固まったように思ったから置いてみるが、すぐに崩れてしまった。
僕の計画は完璧だった。
赤石は不義理な者に天罰が下ったと馬鹿にされずに、サイコキラーの毒牙にかかったかわいそうな被害者として死ぬ。黛は殺人者ではなく、理不尽な目に遭った善人として死ぬ。そして、僕は…。
男の胸ぐらを掴み、そして、叫んだ。
「怖くない訳ないだろうが。馬鹿野郎。これからは僕はどうやって生きれば良いんだ?」
男は間近で僕の大きな怒声を浴びせられた事に怯んだようだった。でも、僕はそれを止められなかった。
「誰もが僕を批判するだろう。僕が何を言ってもきっと誰も僕を信じてくれない。誰も僕を助けてくれない。困った時は、きっとそのまま死ねと思われるし、実際何度も直接そう言われるだろう、当然だ。僕は人を殺した人でなしだ。人でなしは人と同じ扱いなんかされない。今まで味方だった人だって、きっと敵に回るだろう。全ての人が僕を侮辱と恐怖の目で見るだろう。まともに外も歩けなくなる。これから僕は一体何に縋って生きていけば良いんだ?」
僕は声を荒げた。繊細なバランスで保たれていた心の均衡が、崩れたのだと思った。
僕は男のシャツから手を離すと支えがなくなったみたいに膝の力が抜けて、そのまま倒れるみたいに僕は砂浜に手をついて蹲る格好になった。
視界が砂浜だけになると、考えないようにしていたあの日のことを思い返した。
『優希、どうした? こんな夜に』
あの日、僕は黛を呼び出した。
『いや、なんでもないよ。ちょっと、そこまで行こうか』
そんな事を言って、二人で海水浴場から離れた岩壁の裏まで行って…。
黛は一切、僕を怪しまずにそこへ導かれた。
僕がナイフを取り出してようやく驚いて逃げようとした黛は、転んで思いっきり顔を岩に叩きつけた。そして、気絶した黛を僕は…。
黛を殺した時、僕は唐突に自分がしてしまったことの大きさに気づいた。何度も計画の倫理的な是非も考えた筈だったのに。指にこびりついた血も、見開いたまま死んでしまった黛の目も直視できなかった。
後悔するには、あまりに遅かった。
これからのことを考えると吐きそうになった。
『言えるさ』
あの時、カフェでそう言った黛の目は僕など見ていなかった。彼の目に映っていたのは信念だった。黛には社会的に受けるであろう制裁の大きさを知っていても、尚自分の考えを貫こうという思いがあった。
僕には、それがなかった。
とっくに冷たくなった黛を海に棄てた時、僕は自分がとても醜悪な物であるように感じた。友人を自分の手で殺めて棄てた、人でなし。罪悪感なんて言葉じゃ表せないような感情。心臓をたくさんの人に踏みつけられるような痛みに似た感情だった。その痛みがそのまま僕が、これから受けるであろう社会からの攻撃のように思えた。
とても正気ではいられなかった。その日、何度目か知らない吐き気と共に僕は静かに泣いた。
誰かに見つけてもらいたかった。そして、全てを話したかった。今すぐ僕だけの内で秘める事ではなくしたかった。罪は分け合えないが、せめて誰かにこの犯行を知ってもらいたかった。僕だけで持つにはあまりに、重い。そして、慰めてもらうか、さもなくば人でなしだと蔑まれて警察を呼ばれるか。
結局、幸運というか不幸というか、誰もそこには来なかったみたいだった。
その日はそのまま家に帰り寝た。…後から思えば、あの日に全て終わらせれば良かったのだ。
次の日は一周回ってなのか全く昨日の事をひきずったりすることもなく起床した。
もしかしたら、死刑を待つ死刑囚のような気分だったのかもしれない。…どうなるかの覚悟を決めると、人は恐ろしく冷静になれるらしい。
その日は予定では交番にでも行って自首をするつもりだった。だが、気が変わって逮捕されるまで普通に生活しようという気になっていた。何か気分が吹っ切れたみたいで、どうせ捕まるという結果は変わらないのだから捕まるまでのしばらくはシャバでの生活を楽しんでやろうと思ったのだ。
高校にも久しぶりに行った。ほぼ二週間ぶりの登校で、僕は普通に接したつもりだったのだが、クラスのみんなは僕が学校に行かなくなる前に酷く落ち込んでいたから、久しぶりに来た僕が今まで通りになっていた事に驚かれた。普通に授業を受け、錦と昼ごはんを食べた。錦も僕が元気そうだったから安心したみたいだった。
それと、晴子も学校に来ていた。クラスに入ると、ごく普通に女子の友人と喋っていた。晴子は僕が休み始めてからすぐ学校に来始めたみたいで、僕と入れ替わりみたいな感じになっていたようだ。僕は晴子とは、軽く挨拶する程度しかできなかった。他のみんなには普通にできたのに、どうしても晴子とは向き合えなかった。
それ以外はおおよそ普通に学校生活を送れていた。授業を受けて友達とご飯を食べる。それだけの普通の日々が流れた。
どうせ、すぐ捕まる。そう思っていた。
その時の心境は怪我に対してドーパミンが出て、痛みが和らぐのと同じような物だったのだと思う。
どうせ、すぐ捕まって償いをする時が来るのだから、今だけは普通に生活しよう、と。
焦りが生じて来たのは二週間がその状態で経った頃だった。その頃にはあの黛一糸が二週間学校に来ていないと学校中で話題になっていて、僕と代わりに黛が不登校になったとも言われていた。赤石の時とは違い、特に学校側から黛に対して言われることもなくみんな黛がどうしたのか気になってソワソワしていたように思う。
僕もここまでの時間が経つと、遺体がそのまま沈んでしまったのではないかと考え始めていた。となれば、自首するしかない。
もちろん死体が浮かんでこなかったり、浮かんでも見つからずにまた沈んでいくことも考えていた。そうなったら、自首しようとも考えていた。
だけど、もうその時にはドーパミンはとっくに切れていたようだった。或いは、警察が家に来て逮捕されるのだったら、まだ良かったのかもしれない。ずっとその覚悟はしていたから。
けれど、交番に自首。これだけのことがどうしてもできなかった。久しく忘れていた。いや、思い出さないようにしていたこれから受けるであろう社会的制裁への恐れが僕を不安に縛りつけた。
明日にでも警察は来るかもしれないのだから、まだ日常に居続けよう。そうやって、後回しにするうちに次の日が不安で仕方なくなった。逮捕されるのは僕を不安から救済する救いであると同時に、裁かれる立場になる事を示している。周りの人々が怨恨と侮蔑の眼差しで僕を見る日が近づいているのか、それとも遠のいているのか。
その不安は生活面にも影響がでた。寝れない夜が続いて体調を崩しがちになり、しばらくして高校の授業中に倒れた。
医者からはストレス、鬱の症状も出ていると言われ、しばらくは精神的にも肉体的にも休む事を勧められた。僕は学校に行かないと出席が足りなくて留年すると主張したが、担任の先生の原田が学校の校長を説得し、学校側も黛と赤石どちらも学校に来ていなくて気が迷っていると同情したのか、これ以上学校に来なくても高校は卒業させると約束し、僕をほぼ強制的に休ませた。
こうなると、僕は本当に心の拠り所をなくしてしまった。部屋で一人でいる時、学校にあった日常感が僕の心をどれだけ救っていたのかを知った。部屋にいると、僕の体の奥からカビになっていくような、だんだんと自分の体を自分の体と思えないような感覚があった。ベッドに手足を放り出してずっと動かないでいる。すると、全身の末端の部分から順に感覚を失っていく。自分の体ではないみたいに、その部位を動かすことができない。それは徐々に全身に広がり、やがて全身金縛りにあったように動けなくなる。そうすると、唐突に今までの事が思い出された時に、頭を振って無理矢理に思考を散らすこともできない。次の瞬間には警察が家に来て捕まるのではないかとか、もしくは魂の抜けた黛を抱えた時の重さなどのことが、眼前に広がり、決して目を背けることができずに迫ってくる。とても、正気ではいられなかった。
だから僕は酒に浸ることを覚えた。アルコールに体を預けると、たちまち思考が大雑把で抽象的なものになった。辛いことを考えても、なんだか思いついた時からいくつか纏まりのない連想をしている内に考えるのを忘れることができた。
今日もそうだった。普段だったら、海で自殺しようだなんて思いついても怖くて実行に移せない。だからアルコールに頼り思考を散らすことで自殺しようとする時にかかる制限を破ろうと考えた。けど、すんでの所で死ぬ事に恐怖を覚えてしまった。そして、助かってしまった。きっと次以降は酒に頼っていてもこうやって自殺できないだろう。
このまま死に損ないのように生きる活力もなく生きていく。それは僕にとって、とても恐ろしいことだった。この息苦しい不安と罪悪感の中で囚われ続け半端に延命されるというのは、想像を絶する地獄への道に他ならないからだ。そんなことは絶対に嫌だ。
「お願いがあるんだ」
僕は砂浜に蹲ったまま横にいるはずの男に言った。
「なんだろう?」優しいような慈しむような、それでいて距離があるような声で男は答える。
「僕を警察に通報してくれないか」
これが、きっと正解だ。償いの時は、きっと訪れないといけないだろう。それに、そうしなければ僕はきっと自分のことも許せなくなる。だって、僕は黛をそのために殺したんだ。黛の命を、無駄にしてはいけない。
僕は警察が唐突に令状を持って、家に押し入ってくる妄想だけはこの数日繰り返している。覚悟はとっくに済ませている。
「聞きたいことがあるんだ」横の男は言った。僕の方を向いていないのか、声がどこか遠く感じる。僕も男の方を向いていないから分からないが。男は続けた。
「君は本当はどうしたかったんだ?」
「え?」
「さっきも言ったけど、君はおそらくあの時精神を患っていた。だから、あんな事をできたんだろう。黛を殺して、自分が赤石君と黛を殺した罪を被るだなんて凶行。まともな思考じゃ、まず実行に移さない。でも、君が本当に求めていたものは違ったんじゃないか?」
「…」
僕が求めていたもの。黛と赤石の罪を背負うとは別に本当に僕が望んでいたもの。
海風がごうっと耳元で鳴り、海の香りが一層強くなるように感じた。蘇るのは、体育館の埃の香りにオレンジのボールのザラザラとした手触り。
僕が求めていたもの。それは、きっと。
「あの時の体育館での日々だ」
確信を持って僕はそう言った。赤石、黛と夜遅くまで練習し、帰りには晴子と合流して帰路に着く。あの時間を僕は何よりも愛おしいと思っていた。
それが壊れたことが信じられなかった。そして、許せなかった。僕にとっての宝物を黛は簡単に踏み躙った。僕にとっての宝物が黛にとって宝物ではなかった。黛にとって、あの日々が対して大事なものじゃなかったと思うと、気が狂いそうになった。
僕が黛にとって、どのくらいのものなのか。替えが効く友人の一人程度の認識か、それとも他はいない無二の親友か。
ただ、大事に思われていたかった。僕にとって、黛は親友で、誰にでも優しくて、賢くて、リーダーシップがあって、清廉潔白を自で行くような心から尊敬できる存在だった。これだけ強く彼を思っているのに、彼からすると僕は取るに足らない存在なのかと思うと、沸々と胸の奥に湧き立つものを感じた。
そして、今ようやく気づいた。あの時黛を殺さないといけないと思った理由は、赤石をみんなに悼ませたいと思ったことや、黛を世間からの批判から庇いたいということ以外にもあったという事を。
僕は黛を恨んでいたのだ。赤石を殺した事に対しても恨む気持ちは勿論あっただろうが、大部分を占めていたのは、寧ろ、もっと僕の感情的な部分だったように思えてくる。黛が僕らとの日々を大事だと思ってくれないのではないかという疑いから起因する独占欲や束縛欲に近い欲望、それの不満が募ってできたものはいつしか嫌悪に近い尖った感情になっていた。黛を尊敬する気持ちと恨む気持ちは同時に存在し、それはいつのまにか混ざり合って僕でも分別することができなくなっていた。それがきっと、殺して罪を被るだなんていう歪な方法で彼を救おうとなんて僕に思わせた。黛を私刑に処して、また彼が受ける社会的制裁を僕が受けることは、彼に対しての僕ができる唯一の救いであるように信じた。その行動を他の人が知らなくても構わなかった。僕が黛を救ったという事実だけが欲しかった。僕は自分の手で黛を救えるという事に酔っていたのだろう。彼を救うことで、僕という存在を黛の魂に刻みつけようとした。独りよがりで自分本位な考えだ。
結局は、僕は自分の勝手で人を殺した人でなしになった。黛の事を悪く言えない。むしろ僕の方が感情に任せて、私欲のために人を殺したのだから僕の方が悪質だろうか?
これでは、まるで獣だ。理性をなくし、深く考えずに人の命を一時の自己満足のために犯す。霊長の風上にも置けないほど野蛮で躁鬱が激し過ぎる。
体から水分が出きっていたからか、涙は出なかった。絶望などでは表せないほどの自己への失望のみが胸中を渦巻いていた。
「僕は、どうしたら良いと思う?」
縋るように僕は横の男に聞いた。自分で決めたくなかった。自分で決めたら何をしても裏目に出るような気がした。
「分からない。君が決めなくちゃ」
ここに来てまで突然梯子を外さないでくれと思った。ここまで僕の思い出したくなかった事を思い出させて、自己嫌悪の沼に突き落としておいて、あとは自分が決めろだなんて。今まで走っていたレールが、唐突に途絶えてしまったと感じた。レールが前にない列車は必然的に止まるしかなくなる。
仕方がないから、僕は自分がこれからどうしたいのか考えた。目の前の海は唸り声みたいな低い音を滔々と流し続けている。怪獣の声にも聞こえるその音は僕にジリジリと選択を迫るみたいだった。
僕はこの罪悪感を抱えて生きていけるのだろうか。やはり今からでも交番に自主しに行こうか。そもそも明日にでも家に警察が来て捕まるのではないだろうか。答えは出ない。
「まぁ、よく考えて選んだ方がいいよ、君の人生だ。次に君が自殺しようとしても俺は止めないから、そういうのも選択の一つだしね。ただ君が普通に生きていく事を望むなら、もし条件が揃ったなら、君の罪を僕が背負ってやっても良いよ」
男が最後に言った言葉の意味は分からなかった。
彼はそれからさっさと僕に背を向けて去ってしまった。その時ようやく僕は彼と会った事があることを思い出した。けど僕も別に彼を呼び止めたり、見送ったりもしなかった。ただ黒い海を眺め続けていた。
そうして海を眺めていると、辺りが白ばんでいる事に気づいた。水平線のもっと先から光が差し込んできて、海は黒から青へ、砂浜は黄色の砂粒の輪郭をあらわした。
かなりの時間ここにいたわけだが、ずっと何かを考えていたようにも何も考えてなかったようにも感じる。
僕にとっての宝物のあの日々はもうないし、思い出そうとするにもそれには最悪な結末がついている。いっそのこと全てのことを忘れられるなら幸せかもしれない。
けど、僕はあの壊れかけだった日々に止めを刺したのは僕であると知っている。その事実は忘れようとしても、僕の目の前にふとした時に姿を現す。
朝の七時になると朝練で体育館に集まった日々を思い出す。星を見ると、部活帰りの国道で見た黛達の後ろ姿を思い出す。そして、それらを思い出すと胸の内が腐り落ちていくように喪失感が湧き上がってくる。失くしてしまったものを取り戻したくて堪らなくなってくる。
この耐え難い喪失感も、いつかは時間が忘れさせてくれるのだろうか。新しい友達や関係ができるうちに今の胸の痛みは薄れて消えるのだろうか。
それは素晴らしいことだと思う。胸を掻きむしりたくなるようなこの疼きがいつの日かなくなるのだったら、悪夢にうなされて寝苦しい夜を過ごすこともなくなるのかもしれない。
でも、それは寂しいことだとも思う。僕がバスケ部で過ごした時間は僕の中で確かに宝物だったから。その宝物がいつの日か過去の出来事の思い出の一つとして格が落とされるのは、今の時間の価値が下げられることを意味する気がする。
いずれにしても、僕は宝物を失くしてしまった。それだけは確かだった。これからどうしようと過去は変えられない。
日の出の様子を見守り、夜が終わり朝が来た。僕はおもむろに砂を払いながら、立ち上がり砂浜を後にした。
駅の近くを歩くと、朝練に行くであろう、うちの高校の男子生徒がいた。早朝は寒いから、少し早めの冬服を羽織っている。
僕は、とりあえず今日は水族館にでも行こうかと思った。
『お母さんもここが好きだったんだ。なんか嫌なことがあった時によくここに俺を連れてきてくれたんだ。良い場所だろ?』
そう言った黛の横顔を思い返す。とびっきりの嫌なことがあった今日水族館に行かなかったら、一体いつ行くと言うのだろう?
黛のカリスマ性と自由な姿で人を魅了するイルカを、僕は重ねていた。けれど、今になって、そうではない気がしていた。彼はむしろ、何かに強く縛られているかのような…。
僕は堪らず心の中で嘆いた。
ああ、黛! 君は本当にイルカだったのか? それとも、寧ろ僕に近いものだったのか?
気づけば、夏が終わりかけている。もう九月になっていた。
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