第25話

翔平は自分が持てる全力を振り絞り、崩れた家の瓦礫を掻き分けていきます。彼の手は血だらけになり、力が尽きそうになる度に、美咲の言葉と美羽の顔が彼を励まし続けました。そして、ついに彼の手が何か固いものに触れます。


「美羽!美羽、大丈夫か!?」


翔平の声が闇に響き渡ります。彼は心臓が口まで上がってくるほどの緊張と恐怖を押し込みながら、瓦礫の下に埋まっている美羽を探し続けます。


長い時間が経つ中で、ついに彼の手は柔らかな感触に触れました。彼がその感触に力を込めると、瓦礫がゆっくりと動き始めます。彼は最後の力を振り絞って瓦礫を持ち上げ、ついに美羽の顔を見つけました。


美羽の顔は灰色の塵に覆われていましたが、彼女はまだ息をしていました。彼女の瞳がゆっくり開き、翔平の姿を認めると、弱々しく微笑みました。


「翔平…助けてくれて、ありがとう…」彼女の声はか細く、しかし彼女の眼差しは翔平にとって最も強い支えでした。


翔平は美羽を助け出すことができ、自分が人間であり続けることを選んだことを後悔していませんでした。人間としての力、そして心で最愛の人を助け出すことができたからです。


そう、助け出すことができた……


みんながそう思いました……

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