第4話

翔平の悲鳴が研究室中に響き渡った。マシーンは光を放ち、ブザー音と共に動き始めた。彼女の研究室が今までにない振動に包まれる中、美咲は心臓が飛び出そうなほどの緊張を感じた。この瞬間まで、彼女は動物の組み合わせだけを試していた。だが今、自分の兄がその中にいた。


光が次第に弱まり、ブザー音が止むと、マシーンの中から翔平の姿が現れた。しかし、彼は以前とは違う姿をしていた。彼の身体は、かつての人間の姿と、牛の特徴が融合したものに変わっていた。


「お兄ちゃん!大丈夫!?」美咲はすぐさま彼の元へと駆け寄った。


マシーンから出てきた新たな翔平は、人間と牛の特徴を兼ね備えていた。彼の体格は以前よりも頑丈で、体表は一部が厚く強靭な牛の皮膚に覆われていた。特に彼の腕と胸部は、牛の力強さを思わせる厚みと力強さを備えていた。


しかし、全てが牛の体に変わったわけではなかった。彼の顔は人間のままで、鋭い視線は以前のままだ。ただ、頭頂部には牛の角が二つ、強く堂々と生えており、それが彼の新たな身体の印象を一層強くしていた。


また、彼の足は人間のままだが、それが支える体重が増えたためか、筋肉が更に発達していた。そして彼の背中からは大きな牛の尾が伸びていた。それは彼が感情を表現する新たな方法となっていた。驚きや困惑、そして時には楽しさを、その尾で表現する翔平の姿は、美咲にとって新たな発見の一つだった。


この新たな姿は、人間と牛の融合という未知の結果だったが、それは同時に翔平自身の新たな姿でもあった。彼はその身体に驚きつつも、新たな状況に適応しようとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る