第2話

ある日、小鳥が木のところに行こうとすると、近くで人間が何やら話し込んでいた。小鳥は近づいて、そっと聞いた。

「この木はもう切ってしまおう。大きくなりすぎたし、危ないからな。」

小鳥は愕然とした。木を…切る?そんな…。あんなに優しい木なのに…。

小鳥は木のところに行くかどうか悩んだが、今日行かないと、もういけなくなるような気がして行くことにした。いつもより羽が重く感じた。

小鳥はいつも通り話した。今日はこんなことがあって、楽しかった。先生が怒ってて怖かった。木はいつものように優しく笑っていた。木はいつもと変わらないはずなのに、木の声がやけに響いて聞こえて、なぜか涙がこぼれそうになった。

「どうしたんだい?」

木は小鳥に尋ねた。小鳥は、

「ううん、砂が目に入ったみたい。」

と嘘をついた。

それから小鳥は再び話し始めた。いつもと変わらないことを話しているはずなのに、小鳥は鉛のようなものを感じながら話していた。


小鳥は木と離れたあと、ため息をついた。嘘をついた。木と約束したにもかかわらず、嘘をついた。隠し事をした。どうしてそんなことをしたのだろう。小鳥は後悔した。でも、小鳥は木を傷つけたくて嘘をついたのではなかった。むしろ、傷つけたくなかった。本当のことを言ってしまったら、木はどんなに悲しむだろう、と。しかし、木との約束は…。小鳥はどうするかの答えを出せないまま、その日は眠りについた。辺りには、しとしとと雨が降っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る