第6話 神殺し...(其の3)

説明(知らなry)

 前回の動力変換刷り込みというのは、アローンさんの魔法ですね。自分の使えるスキルを他人も使えるようにするための魔法です。一般的な武技から、限界突破のようなものまで、付与する側がスキルについて十分理解していればできます。

ただ、使える人はほとんどいない。ずるいんだよ、アローンさんは!!


 分裂に力を使った代償か攻撃を仕掛けてこない神。動力変換を起動するには十分な猶予がある。

「つっても動力変換ってどうやるんだよ?!」

「まあ、待て少ししたら分かる。」

瞬間オエンとトューンの頭に流れてくる動力変換の概要。

「なるほど。これは限られた人間にしか使えないな。」

「前提条件が限界突破・改だもんな。」

 

 今さら不安などない。神に挑むのだから今さらどうってことはない。それに頼れる弟もいる。

 

 今さら恐怖などない。兄について行くと決めたから。それに、頼れる仲間がもう一人いる。


「「限界突破・改オーバーリミット・セカンド」」

さらにみなぎる力。

「「さあ、行くぞ!!」」

気合を込めて詠唱を始める。

「「我が世界と異なる世界、我が力と異なる力、我が動力と異なる動力、我とは異なる生物...次元界生物、自然界を超越せし彼の者の力を我に...。『動力変換・マギア』。」」

青白いオーラを発する2人、それを眺めキュクロプスとの戦いを思い出すアローン。

「「....ッ!!」」

激痛と共に生まれ変わる身体。その先にあるのは人間の域を逸脱する力。

「よしっ!行けるぞ!」

「俺も。」

新たな力を手にし思わず笑みがこぼれる2人。

都合のいいことに相手も丁度よく準備が整ったらしい。

「俺は一人でも片方の相手はできる。おまけにさっきの七割ほどの力しか感じない。」

「つーことは俺達天才兄弟は二人で一体の相手をすればいいってことやな。」

テレパシー発動。

『核が二体間を行ったり来たりしてる。お前たちが時を止めてくれれば、おそらくだが核の動きは止まると思う。そこを俺が畳み掛ける。』

『オーケーオーケー。あくまで、お前が主軸な。』

『あのバカそうなほうを俺が、賢そうな方をお前らで頼む。』

二手に分かれて行動。

「なんか小細工してるみたいだけど私らには敵わないからね☆」

男とも女とも取れない見た目は依然として変わらないが、喋り方、行動の仕方で判別はできる。

不絶光速を起動し攻める。

「人知を超えた力か知らないけど、あんまり神を舐めないでもらいたいね。」

そういうと、神の片割れは魔法の弾幕を浴びせながら創造した槍を構え攻めてくる。

魔法防御をしながら、近接戦となると脳のリソースが持たないな。

ならば、

「不絶、霊妙なる治癒・マナ。」

フルオートで回復をかければいい。

大抵の攻撃は鎧を貫通するほどの力はないが、衝撃一発一発で体制を崩される。

だが、それは相手も同じ。

「マルチエストセイクリッドバラージ。」

こちらも弾幕を仕掛ければいい。

弾幕対弾幕、その中で巻き起こる戦闘。

大剣鎌ソードサイザーを手足のように操り果敢に攻めていくが、イマイチ相手を捉えきれない。

軽そうに見えるあの槍になにか、特殊な力が備わっているのか...。

鑑定スキルを使っても出てくる文字は???だけ。

予想にはなるが、未知の武器アーケインウェポンなのかもしれないな。

「さあさあ、もっと盛り上げていこうよ~!!」

ギアが一段上がった。先刻よりも速い。だが、余裕で反応可能。

ガキッガキンとひたすらに鳴り響く金属音。

天罰スカージ

叩き込まれる、必殺の攻撃。

流石にいなせなかったのか、槍の柄で攻撃を止めようとする。

確かに大剣は止められた、だがアローンの武器は大剣鎌だ。

大剣の刃こそ、受け止められたが

ズシャッ

と、鎌の部分が脳天を貫く。

カハッっとかすれた声を上げ怯む片割れ、腹へ蹴りをお見舞いし、倒れたところを大剣鎌で八つ裂きにする。

鬼の速度で再生するが、お構いなし。治ったところから切り裂く。

「この、ニンゲン風情ガァァァァ!!」

叫んだところで無駄。無慈悲に切り裂き続ける。

胴体から再生していたが、急に再生が止まった。次はなにがどっからくる?

分裂したのを元に戻すのか、肉体を必要としない何かがあるのか?

「アーケイン・ペネトレイト。」

ッ?!後ろ!

後ろから声が聞こえたかと思えば、そこには刺突の構えをした片割れが。

間に合う訳もなく、背中から見事に槍が貫通した。

こいつ、飛び散った血から再生しやがった。クソ、抜けていた。

「これはチェックメイトってやつじゃないかな☆」

片割れは槍を引き抜こうとするが、

あれ?抜けない?どうして?

「お前の武器、貰おうか。」

アローンは槍の貫通した部分を掴んでいた。

「ウラァァァァ!!」

あろうことか、それを自分の手で引き抜く。

青白い血がぼたぼたと垂れるが。心配ご無用。霊妙なる治癒にて一気に回復していく。


—一方オエンチーム。

「アドレナリンドバドバでいくぜ!!」

「兄者、あんまし調子に乗るなよ。」

オエンが護者、トューン攻者...ではない。

今回に限り、

「俺も攻者だぜ!」

トューンが駆けまわり、それを追いかける形になる片割れ。

「チャージ!!」

何かを貯めるオエン。

そしてそこに突っ込んくるトューン、

「からの~、インパクト!!」

鮮やかに宙返りをするトューン、そしてその後ろ追う片割れに、大槌が

バコォォンとヒットする。

玩具の如くゴロゴロと転がっていく片割れ。

そして、暇を与えずにトューンが詰める。そこに

「グラップル。」

魔法で構成された縄をつなぎトューンの加速力を借りてオエンも詰める。

「「我らが正義の名の下に、眼前に立ちふさがりし万物を、裁く!!」」

タイミングを合わせて、

「「ジャッジメント!!」」

吹き飛んだ片割れに必殺の一撃をお見舞いする。

トューンの加速力を借りたオエンの火力はいつも以上に跳ね上がり、

ドゴォォォンという轟音と共にとてつもない衝撃波が走る。

大斧と大槌、二つの超重量級武器によってぐちゃぐちゃにへちゃげた片割れ。

「動力変換は想像よりも厄介だな。」

やはり、即刻再生される。

「まあ、一筋縄ではいかないデスヨネー。」

いつも通りのお調子者ムーブを始めるオエン。

「あまり神を舐めるなよ?」

苛っときているのかな?

「舐めないよ、だってまずそうじゃん?」

追い打ちの挑発をする。

さあこいと言わんばかりにどっしりと構える。

「正面から受ける気か?おもしろい、耐えれるものなら耐えてみろ!」

「カウンター・カウンター...スタート。」

オエンはカウンターのために構えをとる。

片割れが無から生成したのは一振りの刀。どんな性質を持ち合わせているかは不明。


先ほどの戦いを見たところ、こいつは護者。ならば護力が高いほど攻撃が通るような性質を持たせればいい。


「神・一閃。」

瞬く間にオエンを一閃して通過すると思われた片割れだったが、

なに?!


動力変換のお陰か、キリキリと音を立て競り合えている。

「カウンター・カウンター...エンド。」

どんな技でカウンターをするのか?と警戒して距離を取ろうとする片割れを、

「GRAP!!からの、背負い投げ!!」

オエンが背負い投げをする—トューンはこの機会を淡々と待っていた。

オエンの後方へと移動し、振り落とされる肉体へ大斧で一撃を加える。

そして、そのまま斧ごと地面に打ち込み、

「ぶちかますぜハンマー!!」

その上からオエンが回収した大槌を使って完全に地面に打ち込む。

ここで、短剣のレイジを発動。

完全に片割れを捉え、

「「せーのっ。」」

と同時に短剣を突き立てる。瞬間、片割れの時が止まる。

分裂したことを考慮すると、停止時間は先ほどよりも長くなる。

ということは、アローンの助太刀に行ける。

こちらの片割れに核の反応がということは、核持ちはアローン側。

アローンの方を見ると。

「「嘘...だろ。」」

背中から槍で突き刺されているのが見えた。そんなはずはないと二度見するがやはり、突き刺されている。

だが様子がおかしい。

「マジかよアイツ。気が狂ってるな。」

「ほんと、どっちが悪党かわかんないよ。」

槍を引き抜く姿を見てドン引きする2人。ササっと切り替え加勢のためアローンの下へ向かう。


 さあ、仕返しだ。

大剣鎌と槍を構え片割れへ襲い掛かる。

「もう一本ぐらい武器は出せないのか?」

純粋な疑問。これだけの力がありながらあんな槍一本で済むわけがない。

「出せるんならとっくのとうに出してるよーだ!!」

これはブラフというやつだな。

「その喋り方どうにかなんないのか。」

『どうにもならないやろ。』

『正直うざい。』

テレパシー...。

『終わったのか?』

『一応止めてきた。そっちに核があると思う。』

そして駆けつける2人。

「うわっ、2人増えたじゃん。ということは向こう側は負けたってワケ?ふざけんなよ!!」

なんというか、この情緒不安定感は一昔前の自分を思い出すな。

核はこちら側確定。だが、最初の攻撃で核はバラバラに砕けたはずなのにピンピンしていた。ならばどうすればいい?確実に核にダメージを入れていく必要があるが、特にこれといった方法はない。

『俺の予想だが、核にダメージは入ってる。おそらく損傷した核の破片のどれかから「核を再生」したんだろう。まさしく神の御業ってやつだな。』

『ということは、砕いたところにレーザー系統の魔法を照射して、再生する前に焼き尽くせばいいということか。』

『まあ、今出せる解の中では最適だろう。』

方針は固まった。1対3。完全に有利だが気は抜くな。落ち着いて、丁寧に対処していけ、焦るな、二人もついてる、焦るな、落ち着け。よし。

『さあ、ラスト気合入れてくぞ~!!』


説明v2

悪意の神

 神は人間界に堕ちると弱体化がかかる。もし天界でアローンたちが悪意の神と戦ったとすると、9割ぐらいの確率で負けます。寝起き且つ、封印されていた神なので、ぶっちゃけこの状態だと悪意の神は神の中じゃ雑魚です。それでも悪意を増幅できる点は強いですね。まあ、彼らには効かなかったのでご愁傷さまです。

人格について

 神として威厳のある姿であろうとする人格(対オエン、トューンの片割れ)と、悪意の神らしい、悪いことしてニヤニヤしたい子供じみた人格(対アローンの片割れ)とが共存してます。

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