第4話 破壊者から冒険者へ...(其の4)

 下水と言えば配管が通っているイメージだったがこれは巨大な水路って感じだな。魔力で駆動しているものもないし、これはすぐに終わるな。

ディレクションで特定しては退治の繰り返し。

「ディレクション。あっちだ。」

テクテク、バチン。

「ディレクション。あっちだ。」

テクテク、バチン。

3人そろってシュールすぎる。下水に降りてきた盗賊もさすがに不気味すぎてそそくさと地上へ帰っていく始末。

ものの数分で終わらせて、次に向かう。

「次は馬車の警護。正直転送ワープが一番安全だと思うのだが、護送先、お前ら行ったことあるか、ワープ使えるか。」

「もちろん、ある。ワープは...」

何か問題があるのだろうか。

「俺は攻と護の、トューンは攻と疾のハイブリッド、20000ずつぐらいあるが、魔に関してはエンチャント程度しか使えん。一応スクロールのお陰で能力はあるが魔力不足で行使はできない。普通に護衛でいいだr...」

割って入ったのはトューン。

「兄者、魔力接続コネクトは。」

「俺たちの魔力を合わせても足りん。マギアでやれば一般人は魔力酔いする。」

魔ステータスが低ければ一度に使える魔力量は少なくなる。ワープ、特殊魔法の中でもかなり高度なもので必要魔力も多い。能力があるのと行使できるのとは別物。そのためにコネクトが作られたわけだが、コネクトじゃなくとも魔力は共有することができる。

「能力があるならそれでいい。魔力付与グラントを使う。コネクトより効率は落ちるが俺のステータスなら事足りる。」

「お前...殺す気か。」

グラント、相手に魔力を流し込む。体の限界を超える量を流し込まれたとき発散できなければ死ぬ。これを利用した殺人を魔殺という。ステータスが低いものには強制的、ステータスの高いものは許可を取ることで可能。

魔力吸収ドレインもグラント同じ原理で使える。

「他人のステータスは分かる。だから能力があるかだけ聞いた。ワープに必要な魔力も計算できる。死ぬことはない。」

—審問としていい機会だ。やらせよう。

フォースの城門近くに馬車が止まっていた。全部で5。

「俺が依頼で来た冒険者だ。後ろの二人は審問官だ。」

やっときたかと喜んだのもつかの間、審問官がいるということは目の前の男は敵。急に空気が悪くなる。当然のことだ。

「アイツ、本当に護送してくれるんだろうな?」

「知らねぇよ。でも腕輪も赤いし、審問官いるし、ありゃあやばいぞ。」

「「今日はやめようぜ。」」

完全に、帰ろうといった空気である。

「大丈夫だ。コイツが何かした時のための俺達。そいつは信じれなくてもいい、俺達を信じろ。」

やはり民衆からの視線も痛いよな...理不尽な嫌悪ではなく正真正銘俺のせい。受け入れるべきものだ。

「オエン、ワープの準備を。」

ワープ先の大まかな場所、景色を思い浮かべると、足元に巨大な魔法陣が出現する。ステータス不足で不安定だ。

「グラント。」

アローン手はオエンに向けられその手からは、マナが送られている。

魔法陣は完全に顕現した。

「ワープ。」

あたりは青い光に包まれ次に目を開けるとそこは目的地だった。

「たかが護送に転送魔法使うなんてとんでもねぇ。こりゃあいい体験させてもらったわ。ありがとよ審問官さんよ。」

「ああ。」

オエンは大人と談笑し、トューンはこどもたちに「がち審問官?!」「カッコいー。」「剣見せて~。」と群がられている。

「はいはい。これが短剣で背中にあるのは剣じゃなくて大斧だ。もってみるか?」

「じゃあ俺から~。」「ずるい~俺から!!

子供たち(特に男の子)はトューンに興味津々だ。

「トューン、それは重すぎだろ。」

「兄者、大斧なわけないだろ、短剣だよ。」

「ちなみに、お兄ちゃんの武器は大槌だぜ~!!」

背中から取った大槌を高らかにかがげるオエン。

「「「槌はダサい。」」」

「ガーン。」

膝をついてお手本のようながっかりポーズ。

「あっちのお兄ちゃんは大鎌と大剣、大きい武器なのに片手でもってたたかうんだぜ~。かっこいいだろう?」

オエンの指さす方にはアローン。みんなの子供たちの視線がアローンに集まる。

トューンがオエンの肩をつかんで

「兄者、さすがにそれは性格悪すぎ。」

と耳打ちした。

「審問官って悪い冒険者を倒す人なんでしょ?赤い腕輪は悪者。カッコよくなんかないよ。なんでお兄さんはあいつを倒さないの?人殺しでしょ!!人殺し!!」

少年は言った。

周りも同調し「人殺し!人殺し!」声をそろえて言っている。周りの大人も混ざりこそしないが咎めることはしなかった。

「別に俺もお前を苦しめるたいからやったわけではない。アローン、これが破壊者から冒険者になるということだ。」

「ああ。」

「じゃあ、お兄ちゃんたちは帰るからな~。」

「「「審問官のお兄ちゃんバイバーイ!!」」」

護送先の村からはなれトューンから一言。

「続けられるか?」

「もちろんだ。」

戦闘センスだけでなくこういった状況をあえて作り出し人を試す力。おちゃらけた奴に見えていたがやはりすごい人物なのだな。

「帰りは俺がつなぐ。ワープ。」

3人はフォースへと戻った。



説明ry

 魔力量 その人が一度に扱える魔力の量。ファイアショットでも魔力が10なら一発だけど100あれば10発撃てるてきな感じ。基本的にステータスが高ければ魔力量は多い傾向がある。


 能力はあるけどうんたらかんたら

スクロールと呼ばれる魔法とその使用法について書かれた巻物をつかうことで適性関係なく魔法を扱える能力が得られるってこと。スクロールはレアものだけどワープのは数が多いほう。審問官は皆貰える。それぐらい重要な職なのです。



今回ちょっと短いです、すみません。

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