第3話レベル1〜ディストピア〜

 最先端乙女ゲーは名前の通り、かなり難易度が高く現実を忠実に再現しているため、攻略するのにも現実同じようなことが要求される。そのことを踏まえた上で、アレンはゲームオタクでこれといった特徴のない自分と、文武両道で大金持ちのお嬢様である更紗という人間を比較する。

「どこにでもいるスライムと、ゲームの隠しボスくらい人間としての格が違うな……」

 自分の席に座った状態で彼女を横目で見ても一目瞭然で、彼女の周りには男女問わず人が囲うように人が集まり、対する自分は空気と同じようなものだ。

「学校と同じシチュエーションをゲームでもさせられるとは…………」

 はぁ、ため息と吐き、ストレスを吐き出すと同時に、気持ちを切り替える。アレンはどんなゲームにも手を抜かず努力してきた。そのことを他人から笑われて悔しい思いをしても関係ない、がんばった後の達成感がそれをも凌駕する。だから、時間さえかければ攻略できる簡単なゲームよりも、プレーヤースキルを重視されるハードなゲームが好きだった。つまり、この彼女と関わる機会、情報をくれる友達、そして目立つ特徴のひとつさえないこの絶望的な状況。

「他のゲームなら簡単に攻略できるけど、乙女ゲーに関しては初心者だからな…………」

 アレンの中でのハードゲーとしての条件は揃った。だから、アレンは絶望的なこの状況に歓喜して、思わず笑みをこぼしてしまう。

「初めてのボス戦を攻略してやるか!」

 アレンは今までのゲームの知識をフル活用するように思考する。やはり、勝てない相手に挑むにはを見つけていかなけれならないと………………。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ダイブ〜6ラノ〜 @sunaokyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る