第31章−1 異世界のオマケはてんこ盛りです(1)
「マオ――。早く行くぞ――」
大噴水の屋台で大量に注文していた焼き菓子を受け取ると、ニコニコ顔のドリアがオレを呼んでいた。
焼き菓子が入った大きな袋を、ドリアは大事そうに抱えている。
「すごいな。マオがとなりにいると、オマケが大量についてくる!」
「へ……へえ……」
「この焼き菓子なんか、倍増だぞ! 倍増!」
ドリアはものすごく興奮している。
なんとなく、そんな気がしていたんだが、気のせいではなかったんだな、とオレは思う。
(異世界のオマケすごすぎるな……)
大興奮のドリアをどう扱ってよいのかわからず、オレはなるべく刺激しないように、ドリアにくっついて、馬車止めをめざして歩いていく。
ドリアは焼き菓子を片手に抱え、もう一方の手で、オレの手を握っている。
大きな荷物に、とてもうれしそうな表情を浮かべているよ。
(そんなにこの焼き菓子が好きなのか……)
どんな味なのか……少し、興味はあったが、オレの胃袋はもう食べ物を受け付けようとはしていない。
残念ながら、それは次の機会になりそうだね。
……本当に、次の機会ってあるのだろうか。
オレの疑問は心の奥底にしまい込み、一同は、再び馬車に乗り込んだのであった。
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大通りを出た馬車は、いくつかの角を曲がって、狭い道へと進んでいく。
そして、到着したのは、素朴なつくりの、大きな建物の前。
馬車の扉が大きく開き、オレたちはそこから見える景色に首をかしげる。
建物の前は広い庭……というか、広場になっており、数十名の子どもたちが遊んでいる。
学校かなにかだろうか?
「すぐに終わらせるから、マオたちは外で待っていてくれてもいいぞ」
ドリアはそういうが、実際はそういうわけにもいかず、フレドリックくん、エリーさん、ドリア……最後にオレという順番で、馬車を降りる。
人の出入りは制限されているようで、敷地を囲う塀は高く、門はぴったりと閉じられ鍵がかかっている。
門の前に突然止まった馬車に驚いていた子どもたちだが、ドリアの姿を見たとたん「わっ」という歓声が沸きおこる。
「おにーちゃんだ!
「おにーちゃんが、きた――!」
「誰か、院長先生を呼んでこい!」
「おにーちゃん、会いたかったよ!」
子どもたちが一斉に、門の方へと走り寄ってくる。
小さな子どもは足がもつれたのか、転んで大泣きしている。
急に騒がしくなった。
「みんな――! 久しぶりだな――! 元気にしてたか?」
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