第24章−6 異世界の軟禁は甘々です(6)

 ドリアがいつも後ろにひきずっている……いや、ひきつれている近衛騎士たちも、近衛の制服ではなく、私服だった。


 旅人風なヒトもいれば、冒険者っぽい恰好をしたヒトもいる。帯剣してても違和感ない服装をチョイスしたんだろうけど、なんだか、仮装行列じみているかな。


 だからといって、王太子が変装しても、後ろから近衛騎士の制服でゾロゾロとついていったら、お忍びの意味がないからね。


 そこまで間抜けな人たちじゃなくて、ちょっと安心したよ。


 フレドリックくんの姿を探したが、この集団の中にはいなかった。


「マオ。今日は楽しもう」


 ウキウキした声で、ドリア王太子はそう言うと、手に持っていた花束をオレに差し出した。

 今朝、咲いたばかりのピンク色のバラだ。もちろん、刺抜きはされている。


 庭師さん、朝早くからご苦労さまです。


 それをありがたく受け取りながら、空いている花瓶って残ってたかな――と思いながら、リニー少年に花束を渡す。


 抱きしめられて、チュッチュとキスをされたが……ものすごく久しぶりのような気がしたし、少しくらいは許してやろうか。


 だけど、うっかり許しすぎると、城の外ではなく、寝台に連れて行かれそうになるので、適当なところで切り上げた方がいいだろうね。


 オレが苦労してドリアから離れると、「チッ」という、小さな舌打ちがドリアの口から漏れた。

 あわよくば……と思っていたのがバレバレだよ。


 ……舌打ちは、聞かなかったことにしておいてやろうかな。


「マオ、待たせて悪かったな。シンプルな服も、マオの美しさが引き立っていいが、この服も似合っている。やっぱり、マオはなにを着ても似合うな!」


 キラキラ笑顔でのストレートな賛辞が、ダイレクトにオレの胸に突き刺さる。


 ……恥ずかしい。


「……ドリアも、似合っているぞ」


 なんとか絞り出したオレの言葉に、ドリア王太子は嬉しそうに笑う。

 なんで、なんで、こんなに笑顔が眩しいんだよ……。


「マオ。今日の天気は快晴だ。デート日和というらしい。時間がもったいない。さあ、お忍びデートをはじめようじゃないか!」




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お読みいただきありがとうございます。

さあ、いよいよです! お待たせしました! いよいよ!

次は……魔王様はお外にでます!(予定)

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