第24章−4 異世界の軟禁は甘々です(4)
フレドリックくんが、オレのいた世界の『昼の世界』に産まれてたら、間違いなく、『昼の世界』で唯一の王になれていただろうね。『夜の世界』の唯一の王であるオレが保証するよ。
さらに、観察眼が鋭いフレドリックくんは、怖いくらいにオレの性格と嗜好を把握していた。それはリニー少年以上の細やかさを備えていた。
オレの攻略本が存在し、それをコッソリ熟読しているのではないか、と疑いたくなるくらい、フレドリックくんはオレの急所をピンポイントでついてくるんだよ。
一日のほとんどを壁として過ごすフレドリックくんは、がんばっているエルドリア王太子に遠慮してか、必要以上にオレとかかわろうとはしない。
でもね、本当に助けてほしいときには、フレドリックくんはちゃんと助けてくれて、側に寄り添ってくれるんだ。
オレを口説くとかなんとか言っておきながら、そんな様子は全くない。
その状態にほっとしながらも、少しだけ物足りない気持ちもあった。
う……ん。暇だとろくなことを考えないから、困ったものだね。
とりあえず、最初の一回だけはドリアと一緒に出かけたら、それ以降は自由に外出できるようになるだろう……。
いや、なってくれないと困るよ。
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リニー少年が『この日のために』用意したという外出着をオレは着用する。
誰かの服を借りたのではなく、オレのためにわざわざご丁寧に仕立ててくれたというから、頭が下がる。
用意された衣装は、フリフリ、ヒラヒラ、スケスケではないので、大切に着させていただこう。
今まで着ていたシンプルな室内着と比べるのも間違っているが、質は上等、見た目は豪華な衣装だ。
素材は上等だが、お忍び、ということらしいので、王太子が政務のときに着用していた服や、近衛騎士たちの制服よりは、地味なデザインに抑えられている。
下級貴族の子弟か、豪商の息子の服……といったところだろうか?
お忍びデートと聞いていたので、女装を強要されたらどうしよう……と心配していたけど、杞憂だったようだ。
まずは、一安心。
三十六回も復活をしていると、オレの気分次第では、女性体になるときもあるからね。
男性体との違いは、くびれるところはしっかりとくびれ、でるところはバッチリでているという体型と、声帯、生殖機能部分だけで、顔のパーツは基本、このままだ。
このままなんだけど、不思議なことに、豊満なボディを引き立てる衣装をまとい、髪をエレガントに結いあげ、うっすら化粧をすると、あら不思議、絶世の美女になってしまうんだな。
コレが……。
女性体のときは、やけに世話係のメイドたちが張り切って飾り立ててしまうのも、問題があったと思うけどね。
自分でいうのもなんだけど、怖いくらいの美女になってしまうのだよ。
女性体のオレが微笑めば『昼の世界』の国の三つや四つ、五つや六つ、簡単に滅んじゃいそうだった。
いやあ、怖い怖い……。
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