第24章−3 異世界の軟禁は甘々です(3)

 こちらの世界はぬるすぎる。


 ぬるいというか、甘い。


 もう、どうしようもなく激甘だ。


 オレの世話をするよう命じられたリニー少年とフレドリックくんは、さらにとてつもなく激甘だった。


 困ったことに、優秀な小姓と護衛騎士は、やりすぎじゃないですか? と、こちらが心配するくらいにオレを甘やかしてくるんだよ。


 外に出ることを我慢しているオレを気遣ってなのかもしれないけど、オレに対する態度は、日に日に甘さを増していて、今では超激甘な状態になっている。


 アレだよ。アレ。


 勇者たちが色々やってた恋愛『げーむ』とかの、親密度マックス状態になってしまっているんじゃないだろうか……。


 オレが油断してたときに限って決まって『魅せてくる』ふたりのレアな表情が、オレの心をきゅんきゅんさせてきて、正直なところとても……苦しいんだ。


 リニー少年が淹れてくれたお茶を美味しいと言って褒めたら、頬をピンク色に染めて、碧眼をウルウルさせながらオレを上目遣いで見上げてきた……ときは、飲んでいたお茶を吹き出しそうになってしまった。


 いちばんすごかったのは、オレの入浴中に石鹸で足をすべらせたリニー少年が、浴槽の中に落ちてきてずぶ濡れになってしまったときだ。


 オレが慌てて助け起こしたので、風呂ポチャイベントは、大事にはならなかったんだが……。


 一方、男前なフレドリックくんは、一挙一動が洗練されており、オレの護衛中はあいかわらず壁だったり、空気だったりする。


 そのようななか、茶飲み友達であり、読書後の感想を語り合う関係に進展し、さらには、盤上ゲームの相手をしてくれる仲になっていた。


 リニー少年の淹れたお茶が美味しいのも、フレドリックくんが同席しているからだと思うよ。


 それくらいには意識している存在だ。


 フレドリックくんの家が所持している軍事関連の本について質問するのだが、その答えが非常に的確でわかりやすく、かつ、自分の意見も述べてくる。


 軍運用にはあまり興味がなかったオレにとって、その話はとても新鮮で、感心することばかりだった。


 つくづく、才能の無駄遣いというか、この世界が戦乱の世で、軍事国家なら、間違いなくフレドリックくんは歴史書に名を残す名将か、それこそ、大陸統一をやってのけそうなくらいの才覚に溢れている。


 産まれてくる場所を間違えたんじゃないか……って思ったくらいだよ。



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