第24章−1 異世界の軟禁は甘々です(1)

 国葬が終了してから七日後。

 オレが異世界に召喚されてから二十六日目。


 日にちをカウントするのが面倒といいつつ、習慣になっているので、カウントは辞めない。これからもしつこく続けるつもりだよ。


 元の世界を忘れないためにも、元の世界に戻りたいという気持ちを保つためにも、日数カウントは、オレにとって大事なルーティーンになっているからね。


 ただまあ、こっちの世界と、もといた世界の時間軸がどうなっているのかは謎だけどさ。


 世界が同一線上にあるとは限らない。

 暦からして、こっちの世界ともといた世界とはズレが発生してきているんだ。


 向こうの世界でオレが消えてからどれだけの時間、日数がたっているのか……本当のところはわからないよ。


 そもそも、異なる世界の間には、同じ時間の流れ、共通の時間軸という概念はないからね。

 同じと思っていたら、痛い目をみるよ。


 わかりやすく言うなら、こっちの世界での一日が、もとの世界では三十日……というような展開もあるということ。

もちろん、逆もありえるからねぇ。


 異世界召喚は、時空だけじゃなくて、時間軸も歪めてしまう危険魔法行為なんだよ。

 神様のサポートなしでやるものじゃないからね。


 オレがいた世界と勇者たちのいた世界も時間軸はハチャメチャで、召喚される勇者は、ホント、女神の気まぐれ……ランダムだったんだよ。


 ふたつの世界の時間軸がおかしいことにオレが気づいたのは、親子二代でめでたく勇者召喚されるという事例が発生したときだったなぁ。


 それにしても、なんとも、引きの強い家系だよね。


 ドリなんとかジャンボとかいうイベントの勝者に選ばれるよりも、確率ははるかに低いだろうに……。


 最初に喚ばれたのは、子どもの方だった。彼は十二代目の勇者で、コウコウセイと呼ばれる年齢だった。


 十二代目の勇者は、特に困ったちゃんでもなんでもなく、ルートに忠実で、無事にオレをさくっと討伐し、みなから惜しまれつつも、元の世界に戻った。


 歴代勇者の中でも五指に入るくらい、とっても、素直でいい子だったな。


 きっと、親御さんの教育がしっかりしていたのだろうね……。

 親の顔をみてみたいもんだ、と思った。


 その後、二代ほど勇者が召喚された後、十五代目の勇者として、子どもの親が召喚されたんだ。


 思いがけずに願いがかなって、オレは十二代目のおりこうさん勇者のパパさんの顔を拝めたわけなんだけど……。

 なんと、その親は、十二代目の勇者と同じコウコウセイだったんだ。


 ふたりの関係がわかったときは、ホント、びっくりしたよ。


 女神もオレと一緒になって驚いていたのには、どこをどう突っ込んでいいのか、反応に困ったのをはっきりと覚えているよ。


 召喚する勇者の身辺調査くらい、もっとしっかりしろよ、と女神を叱った記憶があるなぁ。


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