第20章−2 異世界の監禁は退屈です(2)

 そんなお仕事三昧だったオレが、こっちの世界に喚ばれたとたん、城に押し込められて、読書三昧の日々。


 最初はのんびりできていいなぁ――。ラッキ――と、思っていたのだが、いいかげん、のんびりするのにも飽きてきた。


 それなのに、フレドリックくんからは「もう少し大人しくしてください」と言われてしまった。


 なぜだろう……。


 毎日ほとんど本ばかり読んでいて、こっちの世界では暴れた記憶はこれっぽっちもないよ。

 オレはおとなしく、なにもしていないというのに……。


 ただ、大人しく本を読んでいるだけなのに……。


 部屋に籠っていると、毎日がとても単調になる。


 まあ、元の世界でも執務室に籠もって書類の洪水に揉まれていたんだけど、それでも、謁見だったり、会議だったり、視察であったりと……色々と書類処理の合間に各種イベントがねじ込まれていたからねぇ。


 こっちの世界では、食う、寝る、風呂、読書、よくて……散歩。程度だ。


 部屋の中で本を読むのなら、書庫の中をウロウロしている方が楽しい。


 頼めばフレドリックくんやリニー少年が本を借りてきてくれるが、やっぱり、自分が読む本は自分で探して、書棚から直接自分の手でとりだしたいじゃないか?


 たくさんある蔵書の中から、人気のない手つかずの本を見つけ出して、読み漁るのって面白いだろ?


 書棚の奥からホコリまみれの本を見つけ出して読破するのは、オレの貪欲な探求心と優越心を満たしてくれるんだ。


 王城の書庫は、本が増えるたびに無計画に増築されているようで、穴場書棚や、導線が途切れてしまった書棚などがあり、それを発掘するのも楽しかった。


 書庫には適度な刺激があったんだ。


 ドリア王太子へのお仕置き期間中は、室内で我慢したけど、今のドリア王太子は二十四時間、近衛騎士の管理下にあって、自由に動き回ることができない。


 それでもこの頃、時間に少し余裕ができたのか、ドリア王太子はちょくちょく、オレの顔を見に来るようになった。


 だが、文字通りオレの顔を見るだけだ。

 オレの顔を拝んだら、すぐに近衛騎士たちの集団に連行されてしまう。


 つ・ま・り、今のオレは、とっても安全だ。


 王太子にいきなり襲われることはない。


 安全が確保されたので、書庫探検を再開してもいいと思ったのだが……。それすらダメときた。


 そうなってくると、行動制限がものすごく気になってくる。


 もう、ストレス溜まりまくりである。

 そのうち、ストレスでハゲるんじゃないだろうか。




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