第20章−1 異世界の監禁は退屈です(1)
オレが異世界に召喚されてから十八日目。
禁書庫の禁書を制覇してから、早いもので三日が過ぎちゃったよ。
いよいよ明日で国葬は終了する。
二週間……。
ホント、長かったよ……。
あの『謎の落雷』がなかったら、一週間で終わってたのにね……。
ホント、ついてないよ。
オレの当初の見立て通り、二日間安静にしていたら、枯渇していた魔力も、きれいさっぱり全回復した。
元気に復活した。
時間はかかるけど、魔素をゆるゆると摂取して、消費した分も補えた。
ちょっと、こっちの世界、一応、魔素はあるけど、オレがいた世界よりも希薄で、集めて取り込むのに時間がかかるみたいだね。
魔力を消費すると、オレの体内でありあまっていた魔素もソコソコ減少したので驚いた。
元の世界では、こんなに消費することもなかったんだけどな。
そう、元の世界では減少量が少なすぎて気づかなかった……というオチなんだけど、オレの魔力は魔素を変換してできているようだ。
こちらの世界に来て初めて判明した事実だ。
それにしても、召喚された世界に微量でも魔素があってよかったよ。
勇者たちのいる世界のような、魔素が存在しないところに召喚されてたら、あっという間に、魔素不足で干からびて死んでしまうところだった。
これからは、魔力消費の大きい魔法を連発するときは、注意が必要だと、自分自身に言い聞かせておく。
よく似ているようだが、やっぱりここは異世界。
異なることが多々あるんだな。
もう普通に生活しても大丈夫なのだが、周囲――フレドリックくんとリニー少年――の反対もあって、オレは今日も部屋で、無意味に静かに過ごしている。
オレが仮死状態になったのが、ふたりにはかなりこたえたようだね。
迷惑をかけて心配させたことはたしかなので、ここはふたりの指示にしたがうのが、礼儀っていうもんだろ?
いろいろと甘やかしてくれるので、なんか気持ちよくって、それでもいっか……なんて、決して思っていないからね?
オレと王太子が色々やらかしてしまったからかもしれないけど、なんだか、オレに対する過保護度が日増しにレベルアップしてきているような気がする……のは、考えすぎかな?
あちらの世界にいたときは、オレは自他ともに認めるワーカーホリックで、魔王として常に忙しく働いていた。
オレが勇者に倒されて不在となる期間も滞り無く、民が生活できるように……。
あるいは、オレが不在だった期間に発生した問題を片付けるために……。
とにかくオレは、勇者に討伐される日まで、働いて、働いて、働きまくっていた。
リーマン勇者たちの働きっぷりぶりに感化された、ともいえなくはない。
勇者たちって、成人すると過酷な世界で生きてるんだなぁって、しみじみ思うよ……。
***********
お読みいただきありがとうございます。
フォローや励ましのコメント、お星様など、お気軽にいただけますと幸いです。
***********
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます