第17章−4 異世界の禁書庫はピンクです(4)

 もう一度言うが、見た目だけだったよ。


 内容は……というとね……。


 例えば、この、オレがさっきまで見ていた分厚い魔術書だけど、何重にも魔法の封印とトラップが施され、解呪するのに半日かかったよ。


 仕掛けられていた魔法のトラップなど、猛毒が出るとか、昏倒して一週間目覚めないとか、全身火だるまになるとか……かなりデンジャラスで、閲覧するには、命を懸けた覚悟が必要とされるものだった。


 そして、どんなにすごい内容が書かれているのかワクワクしながら中を確認してみると……元気がなくなったヤツを復活させるための秘術であったり、他には……………………まあ、色々とそういう系統の魔術書だった……。

 どうして、最初の一ページ目で気づかなかったのか、自分のうかつさが情けないよ。


 確かに、一般書庫にほいほい置いておくモノではないよね。

 これは……純粋無垢なお子様には読ませたくない本だよ。


 封印の十や二十もしたくなるだろうね……。

 わかる。その気持は、ものすごくわかるよ。理解できるよ。

 最後まで読み終わって、コレが二重本になっていることに、オレは気づいた。

 気づかなくてもいいのに、気づいてしまったんだよ。


 この超絶に恥ずかしい内容はフェイクで、なにかすごそうな魔術が記載されているような予感がした。

 ここまで耐え抜いた者にご褒美があっても、なんらおかしくはないよね。


 で、一時間かけて解析した結果……記されていたのは、やっぱり、そういう系統のめちゃくちゃすごい究極魔術だった……。


 オレが知りたいのは夜に大人が大活躍する魔術ではない。

 惚れた相手をどうこうさせる魔術なんかいらない。


 オレが知りたいのは、異世界人を召喚する召喚魔法だ。

 オレのいた世界に戻るための帰還魔法だ。


 まあ、読んでしまったので、ついでに覚えてしまったのだが……今も、この先も使うことなどないと願いたいね。


 この魔術書はかなり強烈だったが、他の本もそこそこ……アレだった。


 例えば、鎖でがんじがらめになっていた錠前つきの本は、なんと六代目の王様の自筆によるポエムがつらつらと書かれていた。


 それがまた……読むに耐えられない駄作で、悶絶ものだったよ。確かに、世間には公開できないものだろうね。

 鎖で縛りたくなる気持ちもわかるかな。


 歴代の王様たちはポエムが好きなのか、何冊かそういうものが見つかった。

 レベルはどんぐりの背比べというかんじで、甲乙つけがたし、だったよ。

 比べるレベルがレベルで、アレだったんだけどね……。




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