第11章−3 異世界の嫉妬は過激です(3)※
「マオはわたしだけのものだ!」
オレはドリアの所有物になった覚えはない。
涙に濡れながら必死に訴えるが、ドリアにオレの声は届かない。
(やめろ。やめてくれ!)
終わりが見えない。
(だ、だめだ……。もう無理だ)
目の前では、鮮やかな光を放つ星がチカチカとまたたいている。
これ以上はダメだ。
オレは覚悟を決めた。
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ガラガラドッシャ――ン!
一瞬、室内が真っ白に輝き、大地を揺るがすような振動と轟音が城内を揺るがす。
「なん……!」
嫉妬に我を忘れていた王太子も、さすがにこの大音響には驚いたようで、動きが止まった。
その隙に……と思ったのだが、王太子の中からは抜け出せない。
音は一回だけだったが、一気に城内が騒がしくなった。
その騒ぎは鎮まるどころか、どんどん大きくなっていく。
寝室の外もざわついており、大勢の人がドカドカと入ってくる気配がするね。
なにやらリニー少年の声も聞こえてきた。
しばらくすると、寝室の扉がドンドンと大きな音を立てて叩かれはじめた。
「殿下! 殿下! エルドリア王太子殿下!」
よく通る男性の声が、王太子の名を叫んでいる。
よほど慌てているとみえて、今にも扉を壊しかねない強さで叩いていた。
鍵は? とか、扉を壊せ! といった怒号が飛び交っている。
「よ……、呼ばれている……ぞ?」
オレが声をかけて、ようやくドリア王太子は動き始める。
王太子は舌打ちをしながら、オレから離れた。
オレは痛みと必死に戦いながら、素早く掛け布団の中に潜り込む。
「ドリア……呼ばれている……ぞ」
布団の中に逃げ込むと、オレはもう一度、ドリアに声をかける。
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