第11章−3 異世界の嫉妬は過激です(3)※

 「マオはわたしだけのものだ!」


 オレはドリアの所有物になった覚えはない。


 涙に濡れながら必死に訴えるが、ドリアにオレの声は届かない。


(やめろ。やめてくれ!)


 終わりが見えない。


(だ、だめだ……。もう無理だ)


 目の前では、鮮やかな光を放つ星がチカチカとまたたいている。

 これ以上はダメだ。


 オレは覚悟を決めた。


****



 ガラガラドッシャ――ン!


 一瞬、室内が真っ白に輝き、大地を揺るがすような振動と轟音が城内を揺るがす。


「なん……!」


 嫉妬に我を忘れていた王太子も、さすがにこの大音響には驚いたようで、動きが止まった。

 その隙に……と思ったのだが、王太子の中からは抜け出せない。


 音は一回だけだったが、一気に城内が騒がしくなった。

 その騒ぎは鎮まるどころか、どんどん大きくなっていく。


 寝室の外もざわついており、大勢の人がドカドカと入ってくる気配がするね。


 なにやらリニー少年の声も聞こえてきた。


 しばらくすると、寝室の扉がドンドンと大きな音を立てて叩かれはじめた。


「殿下! 殿下! エルドリア王太子殿下!」


 よく通る男性の声が、王太子の名を叫んでいる。

 よほど慌てているとみえて、今にも扉を壊しかねない強さで叩いていた。

 鍵は? とか、扉を壊せ! といった怒号が飛び交っている。


「よ……、呼ばれている……ぞ?」


 オレが声をかけて、ようやくドリア王太子は動き始める。

 王太子は舌打ちをしながら、オレから離れた。


 オレは痛みと必死に戦いながら、素早く掛け布団の中に潜り込む。


「ドリア……呼ばれている……ぞ」


 布団の中に逃げ込むと、オレはもう一度、ドリアに声をかける。





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