愛人
父に抱えられていた
下ろされると、阿古久曾は
「
「
有朋が
紅の
御簾の前に現れた
「
ふゆごもり いまは はるべと さくや このはな」
冬ごもり 今は
難波津に 咲くのでしょうか この梅の花は
冬ごもりを終えて 今は春の頃となって
咲くのでしょうね この梅の花は
女の
衣だけではない。女の顔にも、いくつも、いくつも、梅の花の蕾が浮かび、膨れ上がる。
「よく見えるようにしてやろう」
「切れろ」
友則が言うと、
兄――
「吾子(あこ)(我が子)は、私の物。誰にも渡さない。
咲くや咲くや(咲くかな咲くかな)と、梅の花の蕾に顔を寄せたような女が
「いつまでも
「
友則が
女の顔の、
顔も、
血の臭いに、
あの日。弟の
弟――
「ちがう・・・」
望行の声に、有朋は
女が、いたく(ひどく)
顔も、
友則の腕の中、阿古久曾は笑み顔で、父を返り見る。
「ちちぎみっ、できたっ」
「ああ、できたね」
見返して言う父は、悲しい顔様だった。
「
名乗るいとこ
「
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