第21話 11-1.吉田茂からのメッセージ

 吉田茂から、琵琶湖の環境問題の取材で大津へ来ていたこと、今度来る機会があれば連絡する旨年賀状に書かれ、LINEのQRコードが印刷されていたので、友達申請してみた。すると、長いメッセージが返って来た。

 今、介護についての取材をしているので話を聴かせて欲しいことや、西郷さんが病気で亡くなったこと、吉田茂自身はフリーのジャーナリストで著書もあるが、生活は苦しく、ライター講座時代に志していた、世界の紛争地へ行って取材をする夢は実現していないことなどが綴られていた。

 最後に、国葬反対、統一教会問題真相究明、と記されていたのが彼らしい。西郷さんに池袋の居酒屋で質問の練習をさせられた記憶が、リアルによみがえる。

 結局張り込み班に回され、人と会う取材を経験しないまま退職したので練習が役立つことはなかったが、西郷さんがしてくれた話の内容は、はっきりと覚えている。腹が出て恰幅の良かった西郷さんだが、吉田茂によると、最後は頬がこけ痩せ細った身体だったそうだ。周囲に病気のことは一切告げなかったと言う。

 和彦が退職勧告に従って辞めた後、西郷さんが、記者を何だと思っているんだ、あんな班でできなくても良いんだ、と怒っていた、との話を吉田茂から聴いていた。

 

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