第75話 ライオスの捕縛

俺の目の前でライオスが火だるまになっていた。


「うあああ、熱い!!・・熱い!!」


「だれか・・火を・・消してくれ。」


ライオスは情けない叫び声をあげながら地面を転げまわり、ようやく火を消したのだった。


「はあ・・・やっと火が消えた。」


火が消えて安堵しているライオスに俺は言ってやった。


「だから言っただろうが、隠れても無駄だってな。」


ライオスが頭を抱えて落ち込んでいた。


「なぜだ?なぜこんな事になっているのだ。」


ミリーがライオスに言った。


「それはライオス、あなたがクリードよりも優秀ではないからよ。」


「お前もクリードが優秀だと言いたいのか。」


「そんなの当たり前でしょ。」


ライオスが俺にこんな事を言ってきた。


「くうー、クリード!!なぜ自分が優秀だと言わなかったんだ。お前がこのライオスに自分が優秀だと教えてさえくれていれば追放などしなかったはずだ。」


「ふざけんなライオス!!俺の聞く耳なんて一切持っていなかっただろうが!!ライオスお前は俺の顔をみるなり、こいつは最下級以下の冒険者Fランクに違いないって、俺の言葉を一切聞かなかっただろうが!!」


「そうだよ、ライオス。あなたがクリードを追放した時点でこうなる事は決まってたんだよ。」


「ならこのライオスはこの後どうすればいいんだ?」


「俺におとなしく捕まって、大司教様の元に連行されればいいだろう。」


「そんなの嫌だ。」


するとライオスはこんな提案をしてきた。


「そうだ、こういうのはどうだクリード。俺のレアアイテムを欲しくないか?このライオス様の最高のコレクションをやろう。ミルフィリアの剣をクリードお前にやろう。そうすればクリードお前の考えも変わるはずだ。」


「いらない。」


「なぜだクリード!!ミルフィリアの剣はこのライオス様の最高のコレクションなんだ。ダルムスの剣の次に強いと言われてる強力な剣だぞ。このライオス様の最高のコレクションがいらないというのか?」


「もうダルムスの剣を持っているからな。」


「なんだと、クリード!!お前、最強装備と謳われているダルムスの剣を持っているのか?」


「ああ、持ってるぞ。だからミルフィリアの剣はいらないんだよ。」


「そんな、装備ですらこのライオス様よりもクリードの方が勝っているというのか!!」


ライオスはなぜか大きく落ち込んだんのだった。


「何から何までクリードの方が上だと言うのか・・・、このライオスが勝っている点はどこもないというのか・・!」


「そんな事よりも早く立てライオス、お前を大司教様の所に連行する。」


すると今度はライオスが地面に頭をすりつけて、手足も地面につけて土下座を始めたのだった。


「クリードさん、いいえクリード様このライオスが間違っておりました。このライオスがクリード様を追放したのは間違いでした。クリード様にこれまでの事を謝罪させて頂きます。本当に申し訳ありませんでした。クリード様。」


「ライオス今さらそんな事をしたってなにも変わらないぞ。」


だがライオスは地面に顔と手足をつけて、土下座を続けた。


「ライオスはクリード様に比べたら、めちゃくちゃ弱いです。クリード様には全然敵いません。クリード様こそ最強でございます。この愚かなライオスはようやくクリード様の実力が分かりました。」


「ですからクリード様、これまでの事はすべて謝罪させて頂きますので、どうかどうか今回だけはこのライオスを見逃してください。」


「見逃すなんて無理に決まってるだろうが。」


「どうしても無理なのか?」


「絶対に無理だ。」


「まだ土下座が足りないのか?」


「いくら土下座をされても無理なものは無理なんだ。」


するとライオスがこう言った。


「そうか分かった。このライオスは出頭する。」


「本当かライオス?」


「ああ本当だ。このライオスを大司教の元に連れていってくれ。ほらこの通り武器も差し出す。」


ライオスはそう言うと自分の剣を差し出しそうとした。


「よし分かった。ライオス余計な事はするなよ。」


するとライオスは剣を渡す素振りをやめて、剣を持ち換え俺に斬りかかってきた。


「なんちゃってな!!だれが捕まるか!!死ねクリード!!」


「クリード!!」


みんなの心配そうな声が響いた。


ライオスは勝ち誇ったように笑っていたが、すぐに顔を引きつらせる事になるのだった。


ライオスの渾身の一撃を俺が軽々と受け止めたからであった。


「馬鹿な、このライオス様の渾身の一撃を素手で受け止めたというのか!!」


「ライオス!!余計な事はするなよと言ったはずだ!!」


「ヒイイ・・!!」


ライオスの顔は恐怖に震えていた。


「ライオス、お前の考えそうな事なんて初めから予想がついてるんだよ!!」


ライオスが恐怖にひきつった顔で大樹の庭園の奥に逃げ出そうとした。


「ヒエエエーー!!助けてくれ!!」


「ライオス、お前はもう気絶していろ!!」


俺は炎属性の上級魔法フレア・バーストをライオスに唱えた。


「その爆炎の業火によってこの地を包み込め!!フレア・バースト!!」


俺の前方に特大の炎の渦が現れると、それはとてつもなく大きな炎の渦となっていき、すぐに巨大な炎の渦が発生してライオスを襲ったのだった。


再びライオスの絶叫が大樹の庭園内に大きく響いたのだった。


「うぎゃあああああ・・・・!!!」


「うあああああ・・・・、死ぬ・・・!!」


ライオスはそのまま地面に倒れて、無様にのたうち回ったのだった。


そしてライオスは気絶した。


「やったね、クリード。」


「クリード様、やりましたね。」


「ああ。」


俺はのびているライオスに言った。


「ではライオス!!お前を大司教様の元に連行する。」


俺はのびているライオスを捕まえると、大司教様の元に連行していった。






















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