第72話 破壊将軍の襲来

数日後、俺達はゼスタニア王国にあるザクス山道にて待機していた。


ここはルスタニア法国との国境近くでもあり、王国軍や冒険者達と共に警戒に当たっていたのだった。


「クリード、王国各所への王国軍の配置が終わったわ。それに冒険者達も王国の各所で協力してくれてる。バニル門の方も準備万端だって。」


「ありがとう、ルーテシア。」


「これで準備は完了したな。」


「ええ、そうね。」


「ライオスはやっぱり出頭しないつもりかしら。」


「たぶんね。」


すると山々に大きな声がこだました。


「聞け、ライオス陛下に逆らう愚かな人間どもよ、お前達の抹殺がライオス陛下より下された。Fランクと一緒にお前達を八つ裂きにしてやるとしよう!!はっはっはー!!」


「バルバッサの奴、あいかわらずでかい声だな。」


「もうバルバッサの奴がこの近くに来ているの?」


「いやダンジョン探知でずっと見張ってるけど、近づきつつはあるけど、まだそれなりに距離はあるかな。」


「ええ、近くじゃないのにこんなに聞こえるの。」


「やまびこで響いているのもあるんだろうけど、バルバッサは声がでかいからな。」


「みんなライオスは俺達に投降する気はないらしい。みんなに配置につくように伝えてくれ。」


「うん。」


全員が警戒しながら待ち構えていると、ダークワイバーンが空からこちらに近づいてきた。


ダークワイバーンは名前の通り、黒くて狂暴なワイバーンだった。


「みんな。ダークワイバーンが接近してきてる。物陰に隠れて。」


「うん。」


みんなが物陰に隠れたあとで、俺はダークワイバーン達を確認した。


山々からダークワイバーンがこちらに向かって飛んできていた。


俺は光属性の上級魔法であるスター・レイを唱える事にした。


「天より与えられし光の導きよ、聖なる光によって闇を打ち落としたまえ!スター・レイ!!」


俺の目の前に大きな光のオーブが集まり光の球体になっていた。


そしてその光の球体からすさまじい速さで聖なる光の刃がこちらに向かってきているダークワイバーン達に向かって飛んでいった。


そしてその光の刃によってダークワイバーン達が切り刻まれていったのだった。


俺はダークワイバーンを一撃で倒した。


☆破壊将軍バルバッサ側


ダルカンが顔を青くしながら破壊将軍バルバッサに言った。


「スター・レイの一撃でダークワイバーン達が全滅です。」


バルバッサは余裕な様子でダルカンに答えた。


「ふん慌てるな、この破壊将軍バルバッサが向かえば勝敗は決するわ。」


「一撃で3分の1がやれたのですぞ。」


「だからなんだ。この破壊将軍バルバッサが向かえばFランクなど一斬りで終わるわ。それにまだ煉獄魔人(れんごくまじん)やラオタイガーもいるだろうが。」


「クリードめの実力は洒落になりません。これはもう引いた方がいいのではないですか。」


「うるさい!!この破壊将軍バルバッサが負けるわけないだろうが!!」


「それよりラオタイガーはどうしたんだ?」


「ラオタイガーの行軍は遅れております。」


「ちっ、ラオタイガーくらいちゃんと連れこいマヌケ。まあいい、煉獄魔人共がいれば十分よ、この破壊将軍バルバッサがひともみで潰してきてやるわ。バルカン!!ここで待機していろ。」


「はっ!!」


バルバッサは楽しそうに言った。


「さあそれではFランクを切り刻みにいくぞ!!」


バルバッサはそのまま出撃していった。


その様子を冷めた顔でダルカンは見ていた。


「はんバルバッサめ、勝手にやられに行ってこい。ラオタイガーはこっちに連れてきておらんのだ。迂回攻撃を仕掛けてるためにバニル門に向かわせているんだからな。せいぜいクリードの足止めをして時間を稼いでくれよ、脳筋。」


そしてダルカンは移動魔法テレポでバニル門へと移動したのだった。


☆ クリードの視点


俺はダークワイバーンを倒していたが、お次は煉獄魔人(れんごくまじん)の軍団が近づいてきていたのだった。


煉獄魔人(れんごくまじん)は灼熱の炎が人の形をした魔物であった。


「お次は煉獄魔人の軍団か。」


俺はみんなに指示を出す。


「みんなに前に出ないように伝えてくれ。」


「うん。」


煉獄魔人が至近距離まで近づくの待ってから、俺は水属性の超級魔法であるアクア・セレスティアを唱えたのだった。


「流れゆく大海よ、今ここに集いてその大きな海原によって大きく荒れ狂え!!アクア・セレスティア!!」


俺が唱えたアクア・セレスティアが発動して周囲の広い空間が水でどんどん満たされていった。


そしてその大きな波が発生して煉獄魔人達を水の中に飲み込んでいった。


俺は煉獄魔人達を倒したのだった。


「さすが、クリード。」


「クリード先生、すごいです。」


すると大きな声が響いた。


「おい!!Fランク!!」


「うん。」


俺の前に大きな体で赤い鎧をきた魔族が現れた。


「破壊将軍バルバッサか。」


バルバッサは大きな声で俺に言った。


「Fランク、ライオス陛下に逆らう愚か者は全て八つ裂きだぞ。お前はこの破壊将軍バルバッサによって八つ裂きにされる!」


俺はバルバッサに尋ねた。


「お前の主は魔王クレスタだろうが、ライオスに忠誠を尽くす理由がどこにある?」


「もう魔王クレスタなど我が主君ではないわ、外道の限りを尽くすライオス陛下こそ我が主君にふさわしいと気づいたのだ。ライオス陛下は人間共を殺す事を是とされるすばらしいお方だからな。」


「なるほど、外道は外道同士で気が合うって事か。やっぱりバルバッサお前とは相いれる事はできなさそうだ。」


「それは良かった、このバルバッサもお前ような善良な弱者は大嫌いだ。」


「言っておくがバルバッサ、お前では俺に勝てないぞ。」


「笑わせるなFランク、ライオス陛下の後ろで震えていたのをこのバルバッサは覚えているぞ!!このバルバッサの勝ちで決まりだ!!死ねFランク!!」


バルバッサは俺に斬りかかってきたが、俺はバルバッサの攻撃を左手で難なく受け止めていた。


「なに!!」


バルバッサが驚いていた。


「バルバッサ、俺はあの時ライオスが戦闘に参加するなと命令されていたから、後ろにいただけだ。後ろで震えてたわけじゃないんだよ。」


バルバッサが怯えた表情を見せた。


「ひっ!!」


「いくぞバルバッサ!!」


俺は構わずにバルバッサに上位の剣技スキルであるハミス流星斬りをおみまいする事にした。


「ハミス流星斬り!!」


俺は目にもとまらぬ凄まじい速さでバルバロッサを切り刻んでいった。


「うぎゃあああ・・・。」


バルバッサの断末魔が周囲に響いたのだった。


俺は破壊将軍バルバッサを倒したのだった。


「やったー、さすがクリード。」


「わーい、お兄ちゃんが破壊将軍バルバッサを倒した。」


「さすがクリード様。」


するとルーテシアが慌てて俺の所にやってきた。


「クリード、大変よ。バニル門にラオタイガー達が襲撃してきてるらしいわ。」


「ダルカン辺りが迂回攻撃を仕掛けてきたか。」


「クリード、バニル門にいる冒険者や兵士達ではラオタイガーに太刀打ちできぬのではないか?」


「ああそれなら大丈夫、ちゃんと持ちこたえてはいると思うよ。グリラー達にはあれを渡してあるから。」


「えっ?」


「まあ大丈夫だとは思うけど、一応バニル門の様子を確認してくるよ。みんなはここで待ってて。」


「うん。」


俺は移動魔法のテレポでバニル門へと移動した。


☆ダルカンの視点


ダルカンは強化されたラオタイガーを使ってバニル門に迂回攻撃を仕掛けていた。


だがダルカンはとても困惑していた。


「何が起こっている?」


バニル門に強化版のラオタイガーによって攻撃を仕掛けたダルカンであったが、冒険者達の激しい反撃を受けて苦戦していた。


「馬鹿な、なぜこんなカス共に苦戦しているんだ。クリード相手なら苦戦もするだろうが、こいつらはクリードじゃないんだぞ。強化版のラオタイガーならクリード以外の冒険者なんてどいつもこいつもザコ同然のはず。なのになぜこんなに苦戦しているんだ。」


すると俺の後ろから声が響いてきた。


「その理由を教えてやろうか、ダルカン。」


「ひっ。」


俺は恐る恐る後ろを振り返った。


☆クリードの視点


俺がダルカンの後ろから声を掛けると、ダルカンは後ろを振り返ったのだった。


「ク、クリード、なぜここにいる?バルバッサはどうしたんだ?」


「もうとっくに倒したぞ。それでダルカンお前がバニル門を攻撃していると聞いて、テレポで飛んできたのさ。」


「くっ時間稼ぎすらできないとは。あの脳筋め。」


「さて観念するんだなダルカン。」


「くううう・・・。」


「しかしクリードお前何をした、なぜこの冒険者共は強化されたラオタイガーと戦えている?こいつらでは強化版のラオタイガーに歯も立たないはずだ。」


俺はダルカンに言ってやった。


「冒険者達の装備をよーく見てみるんだな。」


「装備だと?」


ダルカンが冒険者達の装備を凝視していた。


「な、なんでどいつもこいつもリーリアの鎧を装備しているんだ!!いやそれだけじゃないリーリアの兜にリーリアの盾それにダルムスの剣をどいつもこいつも装備してやがる。」


「クリードまさかお前、最強装備であるリーリアの装備を錬金で大量に生産してここの冒険者共に。」


「ご名答、ここの冒険者達には俺が作ったリーリアの鎧やダルムスの剣を渡してある。リーリアの装備には高い防御力以外にもパラメーターを大幅に上げる効果もあるからな。錬金のスキルで大量生産してここにいる全ての冒険者に渡したのさ。」


「くうううう・・・。」


「迂回攻撃をされた場合も考えてちゃんと対策をしていたんだよ。」


ダルカンは悔しそうにしていた。


「くううう・・・。」


「それじゃあな、ダルカン。」


俺は詠唱を始めた。


「その爆炎の業火によってこの地を包み込め!!フレア・バースト!!」


俺の前方には特大の炎の渦が俺の前に現れると、それはとてつもなく大きな炎の渦となっていき、すぐダルカンが炎に包まれたのだった。


「うあああああああ・・・・!!」


ダルカンが断末魔をあげて、倒れたのだった。


俺はダルカンを倒したのだった。


「クリード様。ダルカンを倒したのですか?」


俺が振り返るとバニル門の守備隊長であるグリラーが立っていた。


「ああ、こっちは終わった。グリラーそっちはどうだ?」


「はい、バニル門に押し寄せたラオタイガーはほとんどの討伐が終わっています。あとは逃げたラオタイガーを討伐するだけです。」


「そうか。」


「クリード様の読み通りでしたな。クリード様が我々にリーリアの装備を頂いたので余裕で撃退する事ができました。さすがはクリード様です。」


俺はグリラーに言った。


「ありがとう。これでライオスの手持ちの魔物はほぼ全滅したはずだ。次はこちらが動く番だな。」


「おおクリード様、ではいよいよ。」


「ああ、ライオス捕縛の為に聖都ルスタニアの奪還に向かう。」















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