第48話 やって来た嵐
ついに、今日になった。
攻略対象の一人で、俺の義弟。
──ミネ・クラリス
──君が来るのを待ちわびていたよ。
俺は、ミネの幼少期のビジュがめっちゃかわいいことを知っているんだっ。
ゲームでロイが嫌っていた。
というか、価値を感じていていなかった理由が分からない。
かわいいじゃん!
実物見てないけどさっ。
「お兄さま、客室に来てって、お母さまから言われました!一緒に行こっ。」
妃教育もあってか、レイナが頑張っている敬語を交えて、話しかけてきた。
敬語とタメ口のギャップってかわいいすぎ。
「うん。一緒に行こうね。」
そう言って、レイナの手を引いて、客室に向かった。
ーー
「はじめまして。ミネです。今日から、ここで暮らさせてもらいます。」
戸惑っているのか、手をもじもじさせている。
やっぱり。
初期の設定通り、兄弟になるのに距離をおかれている。
なんか、細かい設定があった気もするけど、覚えていない。
「よろしくね。今日から君の兄になる、ロイだよ。」
そう優しく声をかける。
作戦がある。
ミネをお兄ちゃんっ子にすれば、レイナのことを好きなるなんてことはないはずだ。
悪役令嬢もののラノベの定番。
悪役令嬢の義弟が義姉を好きになるなんてことは、させないんだ。
まあ、俺が好かれたいっていう下心もあるけどね。
「よ、よろしくお願いします。」
身長の差もあってか、かわいい上目遣いときゅるんとした顔に俺は、この子を守って見せると決めた。
「レイナも挨拶したら?」
母親のいないうちに。
そんなことも思いながら、レイナに声をかけておく。
「う、うん。ミネの姉のレイナです。」
テンパっているのか、言葉遣いが変なところもあるけど、挙動不審なのもかわいい。
かわいいからって、レイナに惚れないでね?
ミネ。
そんな圧が伝わったのか、ミネは戸惑いながらもレイナに返事をした。
「は、はい。よろしくお願いします。」
あー。
やっぱかわいい。
俺、シスコンに加わってブラコンになったわ。
心から、そう実感した。
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