第47話 違う

 俺は、元秘書と会って、分かったことを整理する。


 あいつが言っていたこと以外にも何か知っていることは明らか。


 あいつが嘘をつくときの癖。


 右足のかかとを無意識に何度も踏む。


 前に聞いたときには、知らなかったと言っていた。


 昔のそんな記憶、とっくに忘れているだろうが。


 てか、セオと二重人格になったってどう言うことだよ。


 意味分からねぇ。


 あいつは何をする気なんだ?


 でも、体はセオでも中身はあいつだった。


 ずっと俺のそばにいた存在だから、間違えるはずがない。


 口調から何もかもあいつだったんだ。


 だから、


 あいつは、ずっと俺の秘書として、何年も支えてくれた。


 突然就任した社長という職に居させてくれた。


 俺の居場所を守ってくれた。


 あいつがいたから、会社を


 あいつがいて良かった。


 何度もそう思えた存在だ。


 俺を甘く見ているのか?


 俺は、今、何をできるのか。


「失礼します。ロイ様、夕食はどうなさいますか?レイナ様が泣きつかれたお様子で、もう寝台に入るそうです。」


 ケント執事がナチュラルに入ってくる。


 レイナは、疲れちゃったかな。


 セオはもっと疲れたかもしれないな。


 あいつが何とかするだろうが。


 心の中で少年セオがたくさん考えたら、疲れるだろうな。


 あいつは、毎回規格外で、なに考えているのか分からないやつだからな。


 俺は、少し考えてから、ケントに返事を返した。


「俺は、いつも通りするよ。レイナに、『おやすみ』って伝えるように、レイナのメイドに言っておいてね。」


 俺は、いつも通りに過ごした。


 いろんなことを考えながら。


 子供の体だと、眠くなるのが早すぎるな。


 そう思いながら、眠りに落ちた。

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