【10000PV達成感謝】番外編~誰かの名前~ レイナside

「セ、セォ。」


 ベットの中でこっそり名前を呼ぶ練習をする。


 突然の呼び捨てって、恥ずかしいじゃん...。


 もっと、すんなりと言えるようにならないと。


「セ、セオ。セオ。」


 ポツリポツリと名前言う。


 セオとお兄さまは、何を話したんだろうな。


 さっきの怖さを無くしてくれたお兄さまの笑顔はすごいと思う。


 泣きつかれて寝台に入ったってお兄さまに思われたかもしれないけど、食欲がないだけなんだよな。


 お昼寝を長くしちゃって、ご飯をいつもと違う時間に食べたから、眠いのに寝れない。


 変な気分。


 お兄さまは、いつも通り。


 私だけ、セオに振り回される。


 セオが、私の王子様って、どういうことだろう。


 みんなの、国の人たちの、王子様じゃないのかな。


「セオっ。」


 もっと力を入れないで、自然に、呼びたいのに。


 セオは、どうしたの。


 心の中なら呼び捨てだって、簡単なのに。


 セオにレイナって呼ばれると、嬉しくなる。


 お兄さまに呼ばれるのとは別なの。


『レイナ。』


 頭の中に聞こえた声。


 一番聞きたい声。


 これは、誰の声なの?


 セオ?クリス?それとも、お兄さま?


 いつもは聞かない甘い声。


 誰なんだろう。


 私が聞きたい声は、誰の声?


 聞いたら、心が温かくなる。


──この気持ちは何?


 教えてよ、────。

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