第44話 ??side 俺と意志

『転生者か?』


 これが俺がその姿のお前に言った第一声だ。


 お前ならって思っていた。


 ずっと信頼してる、お前ならば。


『誰?』


 日本語、通じてるな。


 社長っぽいな。


『お前、社長?』


『は?なんで知って?』


 やっぱり。


 そうとしか思えなかった、やっぱ社長なんだ。


 困惑する社長を見ながら、俺は腰かけてたベットから立ち上がった。


『社長の長年の秘書です。』


『は?え?おま、俺とお前がいなくて会社回ってるのかよ?』


 こんなときでさえ、会社のことなのが社長らしい。


 でも、それは大丈夫だ。


 かなり手回しをしてある。


『心配ご無用です。』


『なら、良かった。けど、なんでお前ここに?てか、セオ本人は?』


『たぶん、二重人格になっている。』


 確証はなかったけど、社長にだから言った。


『へえ。どうするつもりでいる?』


 社長はいつもそう聞く。


 俺のことを見透かして。


『流石ですね。俺の本体...セオと話すことができたら早いですが、取り敢えず、意識をセオに変えることができるか試そうかと。その後に、他の考えていることを試します。それしだいですね。』


『分かった。じゃあ、お前のやることが定まったら、教えろよ。ひとりで抱え込むんじゃねーぞ。』


『まあ、伝えます。あと、社長はどうしたいのか教えて下さい。』


『ヒロインと結婚しようと思ってる。』


『はい?』


『いや、異世界に来たんだし、俺の人生、自分で考えていいだろ?』


 あのことか。


『そうですね。』


『まあ、後は取り敢えずクリスに仕えようって思ってる。』


『はい?』


 俺、だいぶダメージ受けたけど。


 聞き間違えか?


『クリスに仕えるって言いました?』


『ああ、それが、どうした?』


 忘れてた。


 セオとクリスは同格。


 ほぼセオ...俺が王になりそうなのにどうすればいいんだ?


『社長、俺は社長以外の下につく気ないんですけど。』


『えっ。そんなこと言われても、、お前の方が立場上だろ。』


『じゃあ、社長が王になってください。』


『はあ?俺、無理無理。生まれが違うだろ。』


『じゃあ、俺、社長に仕える方法考えるんで、社長も考えといてください。』


『え"っ。』


『じゃあ、俺いろいろ試したいことあるんで、また今度話しましょう。』


『わ、分かった...。じゃあな。』


 俺は、そういう社長に礼をした。


 じゃあ、試すか。


 幽体離脱とかするのかな~。

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