第26話 変わり者

「待たせてごめんね、ロイ。」


 そう言いながら、ルイスが俺の前に座った。


「そんなに待っていないから大丈夫だよ。」


 ルイスが驚いたようにして、言った。


『転生者?...もしかしてっ、社長?』


 日本語だ。


『そうだけど。俺を知っているのか?』


 日本語で返した。


『やっぱりそうなんだ。俺、乙女ゲームの裏設定担当のリーダーの。』


 裏設定をファンブックに載っけたいとか言っていた変わり者の。


『...お前か。お前も転生したのか?』


『そうそう。社長も転生したとは思わなかったけど。』


『へえ。お前はいつ転生したんだ?』


『ちょうど乙女ゲームが発売されて、買いに行ったときに。』


『じゃあ、ゲームは発売されたんだ。よかった。』


 俺は、心残りだったことを聞けて、ほっとした。


『社長はこのゲームでどうしようと思っているの?』


『ヒロインを攻略しようかなって思ってる。』


『ああ、ヒロインは社長のタイプに合わせて作ったから。』


『まあね。お前は?』


『魔術を使って研究したいかなっておもってる。社長のを聞いて、俺も攻略したい人がいるなって思ったけど。』


『へえ。誰?』


『隣国の姫。クオンの妹だよ。ほら、クリスと婚約していた姫がいたでしょ。』


『いたな。悪役令嬢にそそのかされて一緒にヒロインをいじめてしまう姫か。』


『うん。その姫の姉。双子なんだよ。ゲームだと存在が薄いけど、もともとどっちかとクリスが婚約するはずだったんだ。クリスが七歳のとき─来年─に会うんだけど、姉がしっかりもの、妹が静かだったから、扱いやすいと思った妹とクリスは婚約したんだ。』


 俺は、初めて知ることに驚く。


 さすが、裏設定リーダーの変わり者。

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