第20話 セオside あの日のこと。

 あの日は、忘れない。


 俺の婚約者─レイナ─にあったときのことだ。


 初めてあったあの日、一目惚れした。


 でも、レイナはクリスに恋に落ちていた。


 見たときにわかった。


 苦しかった。


 クリスは恋に落ちていなくても、婚約したりしたら、クリスも好きになってしまう。


 切なかった。


 なぜかは、わからなかった。


 けど、レイナのことをかわいいって思ったから、父上に頼んで、レイナと婚約した。


 周りから見ると、立場の合う子と王が息子を婚約させたように見えるのだろう。


 安心していた。


 でも、俺はいくじなしだった。


 レイナに会いに行けなかった。


 まだ、クリスのことが好きなんじゃないかと怖かった。


 だから、いいわけをして会いに行かなかった。


 けど、ロイ─レイナの兄─は言ってくれた。


 レイナに会えと。


 そして、話せとも。


 俺は、口実をもらえた。


 レイナに会えるならと、勝負で負けたくなっていた。


 そこをつくように、ロイは攻撃してきた。


 何て話せばいいのだろう。


 一ヶ月近くあっていない人に何を言われても、関係ないのではないか。


 兄に負けた人が行っても意味ないかもしれない。


 クリスが行った方が喜ぶだろう。


 俺は悲しかった。


 レイナに思われているクリスに腹が立った。


 俺はクリスにたくさん勝てなかった。


 これからもだろう。


 レイナも俺と婚約しながら、クリスが好きなのだろう。


 胸が苦しいと思った。


 この感情はなんなんだろうか。


 俺は、何もできない。


 無力なんだ。


 いろんな感情と戦っていた。


 そしたら、ドアのノックの音が聞こえた。


「誰だ?」


 俺は、第一王子としての自分に戻る。

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